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2011年にプラスチックSAA で有名だったランパント社から金属モデルガンの告知がありました。そのパンフには、こだわりぬいた 作りと色の仕上げなど高級感あふれるものであり期待値は大いに膨らんでいました。

2012年だったか?遅れていた販売が始まり胸をときめかせたマニアたちの目に飛び込んできたものは、一部にメッキ不良や 表面ザラつきなど今までの期待が大きかった分、反動がすごいことになり、マニアから総スカンを食らってしまいました。 ひどい人は、モデルガン店に高速代を返せと息巻いた人まで出る始末でした。あれから10年以上経った今から考えると、 あんなに高級ぶった宣伝や高飛車な物言いを避ければ、すごく良い製品だったのに大変残念だったなぁと感じる次第です。


以下の記事は発売間もないころに書いたもので、友人から怒りもそのまま書いてくれと頼まれてもいましたが、そこはなるべく 薄めて書いたものでした。
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↑箱の内装の色はA、Bタイプで別れていなくて任意のようです。
 
友人から借りてきたAタイプと自分のBタイプでレポートしています。
高級モデルガンを貸していただいて有難うございました。

期待値注意報発令中

このモデルガンは、ランパントの高級品広告のおかげで、期待値が最高に上がっています。
ところが、製品は「最高級品」ではなく 「最高によく出来た所があるモデルガン」なので 期待値が大きすぎると奈落へ落とされ、やがてその凹みを埋めるために怒りが押し寄せてきます。
最高に良いモデルガンに対して怒りで触れることは、たいへん不幸なことです。期待値を少し下げますと このモデルガンの良いところばかりが見えてきますのでお奨めします。

色の違い

ランパントクラシック社製 COLT S.A.A. 1st メタルロックライト 新製品です。 メタルロックライトって何だか解りにくい呼び名ですが、要は亜鉛合金製です。
こんな時代に金属モデルガンの新製品が出るなんて思いもしませんでした。遅れに遅れたけれど 本当に発売してくれて感謝しています。有難いもんです。
色が3色あり、そのうちのイエローゴールドが24金、シャンパンゴールドが18金です。 写真の左からイエロー、シャンパン、参考にタナカのSAAです。写真のクリックで別窓に拡大します。 以下青い線で囲まれた写真は、同様に拡大できます。イエローゴールドは、金色そのものって感じ、 シャンパンは普通の金メッキが薄くなった感じです。

外観比較

我が家の標準機であるバットマスターソンと比べてみました。フロントサイトの大きさが目につきますが、 他はそんなに違わない感じです。
私はSAAに詳しくありませんので違いもよく解りません。
ついでにいろいろ並べました。
上からランパント、バットマスターソン、コクサイ3型、タナカです。見比べてみてください。
 
下の写真のようにランパントは、リコイルシールド部のカットにアールを付けています。これは、ごく古いSAAを コピーしているもので素晴らしいのですが、Bタイプの1890年ころは90度カットになっていたようです。
2冊の書籍で確認しましたが、そのうちの一つにたいへん珍しい3行刻印にサークル馬の写真が載っていましたので 紹介しておきます。
 
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写真03  

シリンダ傷の問題

まっさらなシリンダーゆえ、少しの傷も目立ってしまいます。
特に下記1.の傷は購入時から入っている個体もあるので、買う時に気を付けましょう。

1.擦り傷

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ハーフコックでシリンダーをカラ・カラーッとやって、そのまま任意の位置からハンマーをコックすると この傷が入ることがあります。
写真左のようにAタイプは、シリンダーにシリアル刻印があります。 Bタイプのころは入れられていないのでモデルガンにも入っていません。  

2.ボルト傷

写真05 借りてきたAタイプのボルトタイミングは、落下が早すぎてシリンダーにガンガン傷が入ります。
シールをはがさなくてもユルユルなので作動できるのです。Aタイプのボルト調整が、すべて悪いのかどうかは 知りませんが少なくとももう一つの同様な個体例を知っています。
それに比べ、Bタイプは最高のボルトタイミングで、まったく傷は入りません。私は円弧カットされた部分に ちゃんとボルトが落ちる金属モデルガンを初めて見ました。感激です。Aタイプの人、ごめんなさい。

星3っつと星ひとつの同居

このモデルガンは、フレームとシリンダーは最高な出来栄えだと思うのですが、トリガーガードとバックストラップは さっぱりな出来です。この程度でよく出荷したもんだと思います。おそらく金型が昔のままではないかと思います。
 
この膨らみはドリルによるものでしょうか?
肉厚が薄いのに早い速度でドリルを押し付けて出来たように見えます。
 
鏡のようなフレームの仕上げと違って、トリガーガードとバックストラップはブツブツが目立ちます。 他の部分が綺麗すぎるのでとってもガックリくる部分です。
 
ネジの部分は、上のAタイプのような膨らみはありませんが、すこし盛り上がっています。
 
Aタイプのトリガーガードの底部分の出来は、悪いです。おまけにメッキの膨らみがあって せっかくのシリアル打刻が読めないような状態です。
 
ここは本来、まったいらであるべき部分ですので左右の合わせ目がわかるような出来では満足しません。
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左がランパントですが、ラチェット部分の出来は素晴らしいです。右のバットマスターソンなんか 見られません。まるで切削加工品かと思うくらいの一級品です。
ちなみにBタイプの作動は、ハンド、ボルトともに完ぺきでした。
このようにランパントのSAAは、最高品質と、さいてーな出来の部分が同居しています。

鋳造不具合部分

私は気にも留めないのですが、こだわる人向けに記載しておきます。
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バレル先端にバリが残っていました。パーティングラインは、ほとんど見られないくらいに手がかけられているのに こんな所にバリが残っているのが不思議です。
右はBタイプに見られたものですが、ここにはインサート用のブロックがあったのではないでしょうか? 鋳造が完全ではなく肌がブツブツ状態になっています。

異常なほどのこだわり部分

リコイルプレートという撃針が通る部分を実銃のように別部品で再現しています。
叩いてカシメているようでバラすことはできません。パーツ表にも載っていません。
ここを再現している金属モデルガンはランパントしかないと思います。

 
仕上げた後にレーザーで刻印しているように見えます。
すごく格好良いのですが、こんな見えないところにお金をかけるのなら、もうすこし トリガーガードに気を配ってほしかったです。
 


フレーム厚の比較

私は以前から各社SAAのフレームの厚みの違いに疑問を持っていました。いったい、どのメーカーの物が 実物に最も近いのだろうと。
写真左からコクサイ3型、バットマスターソン、ランパントですが、その順番にフレームが厚くなっています。
参考に右端に実物写真を置いていますが、なんとなくランパントの勾配に近いです。 これだけこだわって作っているのだから、ランパントが最も近い厚さを持っているのでしょう。
 
写真14 写真左は、ランパントのフレームにバットマスターソンのトリガーガードを乗せたところです。 バットマスターソンの方が一回り細いことがよく解ります。
写真右は、CMC3型用のトリガーガードを乗せています。基部はほとんど同じ厚さですが先端部は少しCMCの方が狭くなっています。 私は、今までCMC3型のフレームは厚すぎると思い込んでいたのですが、今回調べてみてほぼ実銃サイズだったんだと 感心しました。CMC3型も捨てたもんじゃぁなかったんですね。
と、いうことはその流れをくむタナカやハートフォード用のトリガーガード、バックストラップは、工夫すれば 取り付けられそうですね。先端ネジの穴は開け直さないといけないでしょうが。
 

写真左:CMC3型用バックストラップ、トリガーガード取付。
写真中:CMC68用、穴位置は違うが幅はほぼ同じ。
写真右:バットマスターソンのバックストラップ取付。

グリップについて

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バックストラップをいろいろ合わせていて、ふと思ったのですが
CMC68 型にけっこう近いということは、グリップが合うかも?
と、いうことで68型の初期の薄いものを装着したのが↑写真です。
 
同じように薄いMGC用は、少し小さすぎましたが、CMCの方は、少し手を入れたらバッチリ合いそうです。
昔のコルトのグリップが薄かったことは知っていますが、なかなか1st ジェネレーションの実物なんて 入手できないので私はこれで気分を味わおうと思います。
 
参考までに右上の書籍写真と比べてみてください。
この本は、初めは「なぁーんだ、つまらない」と、思っていましたが読めば読むほど参考になります。 SAA教科書として最高でしょう。注意:CMCの 68型グリップは、後期には太くなっていますのでコルト薄型グリップの感触を得るのは、あくまで 68の初期型グリップです。

メカニズム

写真15 ランパントのSAAは同社プラ製と同じくシリンダブッシュを装備しています。 金属モデルガンでは、アサヒイーグル以来です。実物へのこだわりを感じます。
ネジの頭もすべてポリッシュされていて、ツールマークの見えるバットマスターソンのネジとは仕上げが違います。
 
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ハンマー、ボルト類はSAAの命の部分です。ハンドはコルト・ファーストジェネレーション後期〜2nd ジェネレーションの 形状をしています。このサイズがぴったりの動作を呼んでいます。良く出来ています。
ボルトは、ロストワックス法でしょうか?鋳造品のような肌をしています。ちゃんとシリンダーに当たる面は10度くらいの 勾配がつけられています。
私の持っているBタイプは、ごくゆっくりとハンマーを起こすと2/6の穴がボルトの落ち込み不十分となりますので 右小写真のようにボルトのミゾ落ち込み面のバリを取って平滑にしました。これで良くなりました。削りすぎると シリンダーがグラつきますのであくまでバリ取り程度が良いです。

 
写真18 バラす時にベースピンが抜けないので、プライヤーで挟んで引っこ抜きましたが(当然傷が入りました)、 どうしてこんなに重いのかと調べてみると、なんとポンチで抵抗を作っているじゃありませんか。驚きました。
シロートは、触るなっていうことでしょうか?それともするっと抜け落ちるのが嫌だったのでしょうか? いずれにしろ面白くないので速攻で削っちゃいました。傷をつけずにベースピンを抜きたい方は、ハンマーをばらして、お尻から 叩き出せば簡単に抜けると思います。

プラと組換え


友人からランパントのプラ製1stを借りてきました。
並べてみるとベースピンあたりのフレームの傾きが微妙に違っていますね。
こののちに金型が少し変更されたらしいですが詳しく知りません。
ついでに究極のハイブリットを目指して組み替えてみました。
さすがに同じ会社の製品です。 ぴったりと合います。

おわりに

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なんだかんだと文句っぽいことを書きましたが、このモデルガンは素晴らしい出来です。
しかし、高級品広告や発売遅延のブログなどでユーザーの期待値が上がりすぎました。
「すんません、いまはこれが精一杯です」なんてことで登場したのなら暖かく見つめられたと思いますが 「超一流・最高品質が完成しました」と言われて期待にドキムネ状態なのに手にした物がこの程度では 文句も言いたくなります。まことに販売戦略というのは難しいものだと思いました。
 
そんなわだかまりを捨てれば、この製品は今までにない最高の出来栄えのモデルガンだと思います。

せっかくなので部屋の隅からひっぱり出してきて記念撮影です。これが全部見極められる人は そうとうに病気だと思います。
 
「おんなじ物ばかり集めてどうするの??」って思った人、あなたが正常です。


チラシ

このチラシを見て、胸はドキドキ、期待は大いに高まったものでした。
クリック拡大できます。

分解図