写真x

写真00
CMC 1型ガバメントです。初めて見ました。このモデルの存在すら知りませんでした。
「名銃図鑑 モデルガン」という雑誌で紹介されています。

外観

写真01
GM 1型は、少数しか生産されなかったようです。それでなのか、金型のエッジがしっかりしていて シャープな印象を受けます。見た感じは2型と同じですが各部に違いがあります。
写真02
右サイドを見れば、知っている人は1型だとすぐに判ります。
マガジンキャッチがすっきりしています。トリガー下部の隙間も特徴です。

登 場

写真19
1966年5月号のGun 誌に発売広告が載っています。日本初のガバメント・モデルガンです。

1965年8月にMGC がブローニングの乱を起こし、その他会社と絶縁状態になります。
それまでMGC 製品を売っていた江原商店はモデルガンの自社製造販売に打って出ます。
社名もCMC と変更し、 第一弾としていきなり大型拳銃であるガバメントの製作を発表しました
(1965年12月号Gun 誌)。
ところが、なかなか製品化は難しかったようで遅延お詫びの広告も載りました。


広 告

写真24 1966年9月号のGun マガジン掲載のCMC 広告です。時期から言って1型ガバに違いありません。右のページには口金が変えられる サイレンサーが載っています。当時は映画007の影響でしょう、サイレンサーはモデルガンに付きものでした。

2型と比較

写真03
苦労して完成した1型でしたが、すぐに2型が発売されることになりました。
写真右がCMC ガバ2型です。外観は同じです。
( 写真右の2型モデルは、寄せ集めなのでグリップセフティやサイトが変えられています。)

ガバ1型発売後CMC は、ベレッタ34も発売しましたが、数ヵ月後にMGC からガバメントGM-1 が発売されたことで CMC ガバ1型の見直しに着手します。
MGC の製品には誇らしくファイアリングモデルと刻印されていました。そう、MGC は発火モデルでした。
当時のモデルガンは、発火させて遊ぶのが当たり前でした。

1967年5月号 Gun 誌にCMC 発火タイプ・ガバメントの広告が載ります。CMC 2型の登場です。
したがって1型ガバメントは、ほんの一年しか売られていなかったことになります。あまり見かけないはずです。
写真04
非発火モデルなのに小さなカートを使用します。CMC のP-38 のカートも入りません。実銃カートが使用できないように 安全を考えてのことだったのではないでしょうか?
CMC の原型が六人部氏なのであれば、中田商店のルガーP-08 でも異様に小さなカートを使用する事と合致します。 写真右は、2型のマガジンです。
写真05
2型と比べると歴然としています。わざわざ小さく作っていることがよく判ります。
2型に差し込んでいるマガジンは、マルゴーのガバ用です。マルゴーはCMC コピーなので互換があります。
写真06
発火機構は何も存在しませんのですっきりしています。右の2型はなんだか複雑です。
1型は、でっかいエキストラクターが目立っています。
写真07
刻印は下の2型とほとんど同じですが、2型にはCAL 45 の後に馬のマークが入っています。
(写真ではよく判りませんが入っています)

メカニズム

写真08
グリップをはずしたとたんに1型の特徴に気がつきます。

写真09
それは、このディスコネクターです。非発火モデルなのに、どうしてこんな物を作ったのでしょうか? 形状は、のちにエジプトがブローバックカスタムしたMGC GM-1 のような作りです。

これを見たら、丈夫そうなエキストラクターとともにセンターファイアー・ブローバックに改造することが前提だったかのような 印象を受けました。


写真10
上の写真でわかるように、プランジャー部は単なる亜鉛の塊です。したがってセフティにはテンションが効いていませんので ポロッと落ちるとお思いでしょうが、じつはネジ込みで止まっているので落ちないようになっています。

たよりない凸が付いているので、ご想像どうりセフティは効きません。
シアピン、ハンマーピンはテーパーになっているので左サイドにしか抜けません。


写真11
シアを見ても2型のようなセフティロックの凸が付いていません。
ちなみに2型もセフティは、まともに効かない物が多いです。

ハンマーストラット

写真23
匿名様から写真をいただきました。有難うございます。
 
こちらのストラットは、一つ上の写真のモデルと違って亜鉛製です。 下の方に分解図が有りますが、このストラットと同じ形をしています。 間違いなくオリジナルでしょう。鉄のストラットが装着されているものは、亜鉛製が折れて2型からストラットを 流用したものかもしれません。中田の初期のP38 もストラットは亜鉛製でした。
 
珍しい写真を有難うございました。

驚きのmagキャッチ

写真12
1型の右側に見えるマガジンキャッチ部分は、すっきりしています。どうやって止まっているのかというと、 フレーム内側に板バネがネジ込みで止められています。 驚きました。凝った作りです。

驚き2連発

写真13
ブッシングを分解しようとして、外せずに「いったいどーなってんの?」と苦戦しましたが、なんと爪が2箇所あったんですね。 驚きました。こりゃ外れんはずだ・・・。

初めての大型拳銃作りに苦心したことがようく判りました。


バレル

写真14
バレルは、貫通してはいません。発火させないのだからこれでいいのでしょう。
この時代の決まりごとで、サイレンサー用のネジが切ってあるようです。007映画の影響でしょう。 ちゃんとライフリング模様も作られています。

カート

写真22
数年前にオークションから取ってきた写真です。このようなカートが付いていたようですが、確証はございません。

1、2型とMGC

写真15
左からCMC 1型、2型、MGC です。
私は、MGC タイプのプランジャーと板バネ式マグキャッチのオリジナルはCMC なのかMGC なのか知りませんでしたが、 これでよく判りました。独自機構で1型ガバを開発したCMC でしたが、その後に発売されたMGC を見て、プランジャー部と マグキャッチのアイディアを参考にして2型を製作しました。
写真16
べつにコピーをどうこう言うつもりはありません、ただ真実が知りたかったのですっきりしました。

当時のMGC の技術力の高さを改めて感じました。


写真18
CMC は、その後リアルメカ志向に流れて行き、そのこだわりの製品群は今でも名品と称されています。

写真は左から1型、2型、3型です。SAA 、ガバともに3度のモデル化を行なったところに製品に対するこだわりを 感じます。ですから私は今でもCMC ファンです。


おわりに

写真17
いままで存在すら知らなかったモデルのご紹介でした。
オーナー様、たいへん貴重なモデルを貸していただき有難うございました。

追記・1型のパンフレット

chukichi-hide さんのブログ「晴耕雨読」 より、許可をいただき、たいへん珍しい1型のパンフレットの写真を掲載させていただきました。 chukichi-hide さん、有難うございました。
写真パンフ表 写真パンフ中 写真パンフ裏

上から「表」、「中」、「裏」です。特に目を引くのが最後の断面図です。
ごらんのように トリガースプリングが配置されています。現代の普通のガバの板バネとは、すこし違います。 私は、この記事を書く時に1型ガバをバラしていて、トリガースプリングが、フレーム内に 飛び出ているのを見つけて、「これは組み立て間違いだ・・」と勝手に思っていました。
しかし、この断面図を見ると そのとうりで良かったことになります。いやぁ、勉強になりました。

たったの1年しか売られていなかったので、パンフレットも超希少なものです。
このたび拝見させていただき、また転載もさせていただき有難うございました。
また珍しい物を、ぜひお願いします。


追 記2

写真20
断面図のとおりインサートとして鋼材が鋳込んでありました。ブリーチ部の背びれは、かなり磁石が反応します。 バレルも全体にわたって入っているようです。
写真20
マガジンを見ていて思ったのですが、六人部氏の初めての量産作品である中田ルガーP-08 とほぼ同じサイズですね。 ほんのすこしだけ、CMC ガバ1型が大きいようです。
ひょっとしたら六人部さんは、同じカートが使えるように作ったのかもしれませんね。

おまけ

分解図も借用させていただきました。
chukichi-hide さん、有難うございます。
分解図