CMC・44マグナム・S&W M29

亜鉛ダイキャスト・モデルガン
写真00
写真0
CMC のS&W M-29 いわずと知れたダーティーハリーの使用銃です
(若い人は知らないかも?)。
当時は、決定版として自信を持って登場した物です。
銃身長は、写真の3種類が販売されました。
8 3/8、6.5、4インチです。ハリーが使ったのは6.5インチです。


写真01
いまでこそ、イーストウッドはハゲたおじいちゃんですが、1971年米国公開の映画ダーティーハリーの 頃は、渋い男前です。あの映画のおかげで実銃 S&W の44マグナム拳銃が売れに売れたそうです。
当時の日本でS&W のマグナムをモデルガン化していたのは、MGC のコンバットマグナムだけでした。それは、357口径、今で言うならM-19 でした。
その後、各社44マグナムをあわてて発売しましたが、どれもいまいちな物ばかりでした。
そこに決定版として登場した物がCMC のモデル29です。


写真02
コクサイの物はMTの刻印ですが、CMCはS&Wと打っています。


写真03
CMCのマークは、バレルにひっそりとあります。


写真04
下から、当時売られていたコクサイの44マグナム、CMC、コクサイの新型です。
下のコクサイ旧型は、MGCのプラ製のもののコピーの外観を持っています。また、ヨークの部分が平らではないなどモデル29としてはもうひとつです。この時代にCMCは発売されました。


写真05
その後、10年ほど経って決定版として登場したコクサイの新型が左です。
これには、さすがのCMCも歯が立ちません。文句なしの決定版と言えます。

ボロばかり作っていたコクサイ製とは思えない素晴らしい外観、メカニズム。 まるで会社が変わったかのような素晴らしさです。雑誌でイチロー氏の協力があったと 読んだ事がありますが、私から見れば経営陣、設計陣の総入れ替えがあったのではないだろうかと言うくらいの とんでもない出来栄えです。


写真06
話をCMC に戻して、当時は、モデル27との同時新発売です。
写真左がM-27 (357口径)です。シリンダーの長さが違います。フレームは同じNフレームです。モデル27は、テーパード・バレルなので特徴あります。3.5インチは、M−28のハイウェイパトロールマンには 実銃では存在しません。M−27のみです。


写真07
CMCの自信作ですが、動作に不良部分があります。
左のコクサイの物が実銃をよくコピーしていますので比較すれば判るのですが CMCの物のボルトはボルト自身のピンにより動くようになっています。
この結果、ボルトの動きがよくなくて、フルコックでシリンダーがフリーになることが多いです。


写真08
CMCのサイドプイレートの楕円の中をボルトが前後します。従ってサイドプレートをはめる 時は、ボルトが引っかかりやすいのでトリガーをすこし動かすとパチンとはまります。
対するコクサイの物は写真のごとく単なるフタなので簡単にはまります。

また、CMC のハンマーピンは折れやすいのが最大の欠点です。
フレームごと替えなくてはなりません。ただし折れても動作は出来ます。
力のかかり具合かカートのせいなのか、よく判りませんが折れやすいのは間違いないです。


写真09
コック時のシリンダー・フリー状態を再現してみた写真です。
(2)のトリガー落ち込みが激しいためトリガーの「起き」が足りずに (1)のボルトを押さえ込んだままです。本来この時にはボルトは右下写真のように斜めにシリンダーに 食い込んでいなければなりません。

ハンマーのトリガー引っ掛け部分の段差が激しいことと、円滑にボルトが動かないことで生じる物と思います。


写真10
コクサイの新型の物です。ハンマーの引っ掛け部分がほんの少しの段差であることが判ります。 部品一つひとつがシャープですね、鋳造会社か金型会社のレベルが違うのではないかと思ってしまいます。

CMC 登場から約 10年たっていますから、やむを得ません。
CMC のファンとしては悔しいですが、負けました。

ちなみにコクサイ決定版が発売された1986年頃はエアガン優勢で、モデルガンでもプラが主役で、金属モデルガンは、すでに滅び行く途上にありました。


写真11
コクサイの造型は素晴らしく、現行品のNフレーム実銃グリップが ドンぴしゃりにはまります。右の写真です。これをそのままCMCに持って来てもうまく、はまりません。 写真左は、古いタイプのS&W実銃用グリップ(Kフレ用?)ですが、それなりにしっくり来ます。


写真12
左からCMCのプラグリ、旧型グリップ装着CMC、新型グリップ装着コクサイです。 ごらんのようにCMCのプラスチックグリップの断面は旧型グリップのようになっています。 おそらく形を真似た実物グリップは、旧型の物だったのではないかと想像されます。

M-27 も同時発売しているので形の参考には本物のM-27 グリップが使用されたのかもしれません。 M-27 は、モデルナンバーが付いたのはずっとあとからで、本来はかなり古い形のカスタム銃です。


写真14
1976年12月号のGun 誌のCMC 広告です。
「お手許にあるモデルと比較してみてください!!」
「内部のメカニズムに注意してみましょう!!」
と、絶大な自信作を謳っています。当時は、CMC の物に対抗できるような レベルのS&W マグナムは、存在しませんでしたので広告の通りだったと思います。


写真15

写真16

カートは何種類かあったようです。これは、後期型と聞きましたが良く判りません。
非常に凝った形でカート内の前撃針にて発火するタイプです。 大きさは、CMC のSAAに使用される物と同じとのことです。


写真13
CMC は10年ほど、44マグナム・モデルガンの頂点に立ったことでしょう。
しかし対抗企業によりその座を明け渡したかもしれません。が、CMC が凄い物を出したからこそ、コクサイの決定版が開発されたことはいうまでも無いでしょう。健全な企業競争のおかげでユーザーは利益を得たのでしょうが、良いモデルが販売されるのと裏腹にユーザーニーズは変化し続け、やがて両会社ともに存在しなくなってしまったことは寂しい限りです。

ダーティーハリーの隆盛から始まったM-29 競争は、どんどん品質が高まるのに、どんどん売れなくなると言う絶滅金属モデルガンを 象徴しています。



ベイシティコップ・ジョンカスタム


写真カスタム
カスタムガンの写真をいただきました。 いわゆるベイシティコップのジョンとのことです。
ベースはCMCのM29の4in で、リアサイトのみマルシン586より移植しています。
センチネル・アームズの刻印があります。

44マグをこの銃身で撃ったら、ものすごい反動でしょうね、マズルブレーキがないと、とても撃てないでしょう。


写真カスタム
刻印は、全て除去して打ちなおしています。S&W のマークや住所なども本物同様です。
バレルには44MAG と入っています。ヨークにはぶれどめのディティントを新造してあり、サイドプレートが薄くなったためスクリューも変更してあるそうです。また、エジェクターロッドも整形しているそうです。オリジナルのGun を知らない物で申し訳ないのですが 素晴らしさの追求が出来ませんでした。

実は、私はベイシティコップというドラマは全然知りません。調べてみたら1987年から88年にかけて 藤竜也 、世良公則 が出演した刑事ドラマですね。人気があったのでしょう。

自分の当時は、子供が生まれたばかりで、知らずに置いていたタバコ食ったりして大変な生活でした。 自分の30歳代は、まったく記憶がありませんね。忙しい日々だったのでしょう。

今でもこうやってカスタム・モデルガンを作っている人がいる事が嬉しくなりますね。
素晴らしい写真有り難うございました。


おまけ

分解図のJPG が別窓で開きます。→  分解図へリンク


[CMCに戻る]