CMC P38 ゲシュタポ

亜鉛合金製・金属モデルガン
写真000

写真11

CMC P-38 ゲシュタポモデルです。このたびsm期の物をお借りして、はじめて バージョン違いがあることを知りましたのでまとめてみます。写真左がsm期です。

ゲシュタポとは、ナチスドイツの秘密警察で、途方もない連中ですが、彼らが使ったのではないか という短銃身のP-38 が少数存在しているそうです。そのモデルアップで刻印などはCMC オリジナルです。


写真01

写真のスライドのゲシュタポ刻印の上にsmマークがあります。

1971年(昭和46年)の法改正による黒色モデルガンの発売禁止以降、法律的には動きはありませんでしたが、1975年(昭和50年)11月からモデルガン業界の自主規制によりsmマークを付けた物のみを販売しようという動きが始まりました。新たな規制に縛られるよりも先に手を打っておこうと言う事だったのでしょう。


写真02

sm期の物は以前のモデルに比べ、バレルが短くなっています。また、フロント サイト形状なども違います。


写真03

時系列で上から古い順です。1973年にCMC P-38 が登場した頃は、まだ王冠マークが入っていました。そして、すぐに王冠は消されました。王冠マークは、モデルガンが黒い1969年から始まった自主規制で「実物と違うおもちゃです」と言う意味です。ですが1971年から黄色規制になり、 ひと目で玩具とわかるようになったため、なし崩し的に王冠マークは消滅しました。

規制一覧
1969年1971年1975年1977年
トイガン業界
自主規制
王冠マークsmsmG
銃刀法  黄色に着色
バレル閉鎖
銃身分離型
販売禁止

写真04

外からは、わからない部分に、sm期の改良点、省略部が見られます。


バレルの変更

写真05

sm期のバレルは、短くなっただけではなくロッキングブロックのロック機構が 完全に省略されています。したがって、スライドからバレルを抜くとロッキングブロックが、 ポロリと落ちます。なんだか興醒めです。


写真06

sm期は、バレルも完全閉鎖になりました。
右は、俗にコロナバレルと呼ばれる物でバレル閉鎖されていますがガスは抜ける物です。CMC は、この手のバレルを各モデルに採用していました。他のメーカーは、ちゃんと完全閉鎖されていましたが、CMC は、センターファイア採用など優等生ではなかったようです。「これでも十分安全だ」という自己主張が強かったのかも知れません。この姿勢はMGC の対極にあると思います。

CMC P-38 は、購入したときにはコロナの外周には白いやわらかいパテが詰まっていて発火ガス圧により、 それが抜けるようになっていました。私はむかし、購入したその日に針で全部取っちゃいました。


写真07

フロントサイトは背が低くなり固定もしっかり改良されているようです。
smより前のモデルは、ここが取れました。すわりが悪かったです。


発火部の変更

写真08

ファイアリングプレートも変更されていますね。いままでカート全体を押し出す方式だった物が、カートの上方を打撃するように変わっています。どうあっても改造されないようにという努力が見られます。これもモデルガンを守るためだと、仕方なく実行したことでしょう。しかし 真鍮モデルガンの台頭などにより警察に良い口実が出来てしまい、これらの努力と忍耐は、すべて さっぱり流されてしまいました。1977年(昭和52年)のsmG 規制により銃身分離型はすべて販売できなくなりました。

ですから神のような六人部さんや国本氏などの作った名品・真鍮モデルガンは、ただ単純にあがめていては、いけないのだと私は思います。


リアサイト部の変更

写真09

sm期はサイト固定用のネジが追加されているようです。右上写真のリアサイト付け根をよく見てください。少し浮いています。ここを補強した物でしょう。

本物のP-38 は。ここには撃針自動ロック装置が入っていますが、モデルガンで再現した物は存在しません。


快調メカ

写真13

CMC のメカは、シアをロストワックス法によるモリブデン鋼にしたため動きがスムーズで壊れません。これは、ナカタのP-38 のシアが亜鉛のためすぐに磨耗してダブルアクションが出来なくなったことを踏まえた物でしょう。

写真のようにトリガーバーを押し上げるバネは、実物と違い、強い力がかけやすい止め方に変更されています。ナカタのほうが実物に近い止め方ですが、こちらの方がトイガンには良いデザインだと思います。この形は、マルシン・プラP-38が、そのまま真似しています。


写真10

cmcのP-38 は、作りの精度が良いのか、シャキッと動くので気持ちがいいです。


写真00

ナチマークは、欧米では厳密に禁止されています。それは、彼らが何をしてきたかを思うと理解できます。日本では、あまり気に留められていないということは、ヨーロッパでの 出来事は遠い遠い関係ないことと思われているのかもしれません。ということは、日本での 原爆被害も西欧では、たいして関係ないことだと思われているのかもしれません。


Gun 誌に見るP-38

写真14

1971年10月号です。ステンは、発売されているようですがP-38 は予約受付中となっています。「従来のとは違います」とは、タニオのMGC とリアルのナカタのモデルの事で、CMC の 自信が、みなぎっていますね。当初からゲシュタポは、プロジェクトにあったことが判ります。


写真15

1973年8月号にやっと写真が掲載されました。発売予告された1971年は、黄色、銃口閉鎖の46年規制が決まった年なので 開発中だったP-38 も手直しで完成が遅れたことでしょう。
写真のようにCMC は、黄色規制後もずっと 黒い色の広告でした。優等生ではありません。

このころのCMC は、ブローニングやラーマも新発売で、乗っている頃ですね。


ホビージャパン

写真16

1971年(昭和46年)のホビージャパンにゲシュタポ登場が載っていました。

私は、CMC のP-38 は46年規制の前には登場していないのではないかと思っていましたが、 販売されていたようです。規制前の黒色で銃口開きの写真もネット上で見たことがあります。 この広告から言っても46年に販売されていたのは間違いないようです。
(46年規制は12月から施行されました)


写真12

大変貴重なモデルを拝ませていただきました。
おかげでモデルガン規制 などCMC と関係ない記述が多くなっちゃいました。

これだけのひどい規制を実行したのに現代の方が明らかに危険な社会になっていると言う 事実は見逃せません。これから世界的に日本の立場がさらに後退するでしょうから 経済不安が社会不安、治安悪化に向かうことが予想されます。

秋葉原歩行者天国が、あたりまえに開催される日が早く来ることを願っています。

オーナー様、貴重なモデルを貸していただき有難うございました。


刻印図


[CMCに戻る]