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写真では判らない、とってもでっかいGunです。こんなマイナーな銃をモデルガン化してくれたハドソンさんは 2009年12月いっぱいで店を閉じてしまいました。日本初のオリジナル・モデルガンと言える ホンリュー・モーゼルを生産した老舗の閉店はたいへん残念なことでした。

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なんともごっつい形をしています。全身でこれぞアメリカン、 大きく 強い を表しています。

もともと、SAAと同じ弾を使う45ロングコルト口径の軍用銃・モデル1909 が祖先です。

モデル1909・実銃写真 → クリック拡大します。


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1911年に米国陸軍は、当時最先端であった自動式拳銃を正式化します。コルトガバメントです。
 
1914年、オーストリアの皇太子が暗殺されたサラエボ事件により第一次世界大戦が始まりました。 アメリカは当初参戦していませんでしたが、1917年に連合国側で参戦します。
ところがこの戦争にガバメントの生産が間に合わなくて、急遽同じ弾薬を使用するリボルバーを調達しました。 それがコルト・1917と最近タナカから発売されたS&W ・1917でした。

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写真のホルスターは、1917年製の実物です。
よく見えませんが刻印はG&K、1917、A.G.となっています。
一次大戦の時は、兵士はクロスにホルスターを付けていたのか知りませんが、現在オークションで見かけるこの年代の物は左用のものばかりです。2次大戦の物は右用が多いです。
ともに結構高価で150ドル以上はします。
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コルトのクラシック・リボルバーの典型的なスタイルをしています。
S&W の優雅な形と対極にある力強さが、みなぎっています。
見た感じは、オフィシャルポリスと同じ形なんですが・・・・
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こんなに大きさが違います。右はMGC のモデルガンです。

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S&W のNフレームと同じくらいの大きさです。
コクサイのM29と並べています。

装填クリップ

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もともとリムレスの自動拳銃用45ACP 弾を使用するためにハーフムーンクリップが使用されます。 このアイディアは、S&W の物らしいです。

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写真のクリップは、実銃用ですがシリンダー周囲の曲線と微妙にずれています。
たかひろさんのホームページ 「 25番 」 に鮮明な写真が たくさんあるので比較してみていただけると判るのですが、実銃はクリップのカーブがシリンダーと同一です。 したがってハドソンのシリンダーは、実銃より、ほんのすこし直径が小さいようです。

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また、現代では実銃用フルムーンクリップも存在していますが、ハドソンには引っかかるのでそのままでは使用できません。すこし削る必要があります。これらのクリップにカートを入れるのは、手で出来ますが外すのがたいへんです。 写真にある錆びた物が外すツールで、これがあればカートをテコの原理でひねって簡単に外せます。

45オートリム

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クリップによる装弾は面倒なので、この銃のためだけに45オートリムという弾が戦後に発売されています。 45ACP のリム厚さとクリップの厚さを合わせた厚いリムを持つリムドのカートです。

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普通の弾の2倍くらいリムが厚いので、この弾専用のシェルホルダーが無いとリロードは出来ません。

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ハドソンのシリンダーにもオートリムの新品カラ薬きょうが、きちんと入ります。
ちなみに撃ちガラは膨らんでいますので、リサイズして新品状態の太さにしないとハドソンのシリンダーには入りません(もちろん実銃でもそうですが・・)。

登 場

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1977年(昭和52年)12月号のGun 誌に登場します。ちょうど52年規制のころですのでハドソンの1917は、sm マークとsmGマークの物が存在すると思われます。

外 観

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ピン類は全部が真鍮製で別パーツになっておりユーザー思いの良い出来です。
矢印のボルトの板バネを止めるネジは実銃には存在しません。

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オールドコルトにのみ存在するクレーンロックも再現されています。良い味出しています。

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実銃用のグリップは、すこし大きくて削らないと入りません。
左写真は、実銃用グリップとハドソン・グリップを重ねています。 ハドソンの1917は、グリップフレーム先端が面取りしてありますが、実銃では尖っています。

メカニズム

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メカは、コルトを真似しているために失敗作です。コルトメカは非常に繊細な調整が必要で、これを真似したモデルガンは みんな失敗しています。コクサイ・パイソン2型の初期、ホビーフィックスのディテクティブです。
コルトクラシックをモデルガン化した MGC、マルゴー、CMC は独自のメカなのでちゃんと動きます。

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パイソンやディテクティブと同じクラシックメカです。再現するのは難しいです。

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ハンマーブロック機構もきちんと再現されています。かなり力が入っています。
右写真のようにフレームは、あと切削されており、採算的には悪かっただろうと想像されます。

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ボルト機構は、鉄板と鉄板が触れ合う 「 紙一重機構 」 で、こんなのじゃ、うまく動きませんよね。
おまけに、この個体はハンドも短いです。
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左の2個のパーツはコクサイ・パイソン2型の初期パーツですが、実銃をよく模しています。 そんな形をしていないといけないのですが、ハドソンのパーツは、かなり変更されています。 矢印のようにボルト跳ね上げ部分を全然作っていないのが、ハドソンのハドソンらしさかもしれません。

また、ハドソンのボルトの回転支点が、実銃よりもかなり後方に寄っていることも動作を悪くしている一因です。


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ファイアリングピンの固定は、2種類あったようです。

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↑クリック拡大します。

組み立ての時に32番のラッチピンを最初に入れておかないと、後からでは入れられません。注意です(経験者)。


カート

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インナーに穴をあけてばねを通して、インナーの前進抵抗にしています。ユニークな構造です。 ネット情報で知りましたが、他の形式もあったようです。


おわりに

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マニアックな製品、他のメーカーが作らないような製品ばかりモデルアップしてくれたハドソンさんですが、とうとう店じまいしてしまいました。
これでモデルガン創設期からのメーカーは、マルシンだけになっちゃいました。
人は亡くなるとお墓が立てられますが、会社は死んでも何も残りません。ですが、マニアック・ハドソンは、その動作不良とともに 人々のハートに深く記憶を留めている事は間違い有りません。
 
会社だって生まれて育って衰えて死んで行きます。そこには多くの人の魂が生きていたのです。
私は消えてしまった多くの会社の墓石の代わりに、さまざまな情報を発掘して発信して、かつて生き生きとして活躍していた会社たちの姿を 記録に留めたいと願っています。

リーフレット

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サムネールではない大きな画像は横400mmで出力されますので、A3で両面印刷すると それっぽくなります。実物は、もう少し大きいです。


おまけ

分解図