写真x 写真00
モデルガン業界において唯一日本軍の拳銃をモデルガン化していたハドソンですが、さすがに 金型が痛んだのか、クウォリティを求めたのか、N−1から23年後に新型の14年式拳銃を発売しました。ハドソンにとって南部の2機目なのでN−2と呼ばれています。
写真01
なんともスマートな拳銃です。トリガーガードが真円の前期型です。よって、マガジン抜け落ち防止の板バネもありません。
写真02
N−1からすると、少し大きくなっています。
実物もグリップの横ミゾは前期の物は、このようにマガジンキャッチより上までありました。
写真03
菊の紋章で飾られたずいぶん立派な箱に入っています。ハドソンの力の入れようが見て取れます。しかし、この拳銃の正式名は14年式拳銃なのでハドソンは通称を使用しています。

本物の菊の御紋章は花びらが16枚であったと思います。そのものずばりを真似すると宮内庁から 怒られるので、ハドソンは花びらの枚数を増やしています。


写真04
Gun 誌への登場は、1991年(平成3年)1月号です。90年11月に発売予定と書いています。

隣には、でっかくM-14 が掲載されていますね。ハドソンもやる気満々です。


写真05
N-2 から数年のちに3たび改修されてN−3が販売されましたが、外観は同じです。右側の 刻印で区別できます。N−3には昭和の「昭」刻印ですが、N−2は平成の「平」刻印です。
写真06
「平」の次の90は、1990年開発を表すのではないでしょうか?
でも、N−3で昭和刻印に戻ったのを見ると、やはり架空の刻印は人気が無かったのかもしれません。
写真07
外から見たらN−1との違いはよく判りませんが、内部は大きく変更されています。
矢印のロッキングブロックが付けられて、本物と同じようにショートリコイル作動します。
また、ボルトのストライカーのミゾが短くなっています。実銃でもだんだん短くなりました。 これは、南部拳銃の欠点でもあるストライカー破損に対応した物と思います。
モデルガンも同様に、N−2でも撃針のブラケットが折れやすいです。
写真08
実物と同様の動作にするために、フレームは2ピース構造に変えられました。
実物は右のN-1 のように一体構造です。
写真09
N−1では、省略されていたマガジンフォロアーのボルト・ストップが再現されました。 左のマガジンはN−1です。
写真10
ですから、空のマガジンを入れてボルトを引くとフォロアーでロックされます。
実銃と同じ構造です。
写真11
N-1 では、省略、別売りとされていたマガジンセフティも再現されています。右写真は、ロッキングボルトを動かすバネです。 フレームとは別のパーツを差し込んで再現しています。

南部拳銃は、複雑なフレームなのでパーツ構成を変えないとモデルガンでの再現は 大変だったのでしょう。


写真12
N−1と同じでトリガーガードを止めるピンが存在しています。実銃には存在しない物です。

ご先祖南部式拳銃と比較

写真13
14年式拳銃のご先祖様の南部式拳銃の六研製無可動プラ製モデルガンと並べています。
南部式は、14年式よりも一回り小さいですが、同じカート8mmナンブを使用します。
写真14
リコイルスプリングが南部式は左サイドの1本だけなことがよく判ります。基本的な機能は 変わっていません。外観も良く似ています。
写真15
並べてみると、曲線多用から作りやすい直線型に変更されていることが判ります。
写真16
やがて14年式は、トリガーガードが大きくされてマガジン抜け落ち防止バネも新設されました。
それを後期型と呼んでいます。右が、N-3 の後期型です。グリップのミゾも少なくなっています。ハドソンはきちんと再現しています。

ユニークなモデルガンを提供してくれるけれど、仕上げが悪かったり、作動がいまいち なことが多いハドソンのモデルガンですが、この南部14年式N−2は、大変すばらしい仕上げです。
しかし、装填不良が激しいです。 これはN−3でもあまり改善されなかったようです。

平成の刻印を持つ唯一のモデルガンの紹介でした。


おまけ

分解図のJPG が別窓で開きます。→  分解図へリンク