写真x
写真00
近々店じまいするそうなハドソンのデリンジャーです。
MGC、CMC、コクサイとモデルガン創世記からの会社が無くなっても、ずっと我慢のハドソンでしたが、とうとうですか・・・寂しいものです。時の流れは致し方ないですね。
写真01
エジェクターのラッチのチェッカーリングが変な形ですね。初期は単なる縦ミゾでした。
ハドソンのデリンジャーは分解ハンドル止めネジの頭が変わった形なのですぐに判別できます。
 
このモデルは、フレーム最上部のヒンジ部分が折れています。
ハンマーの衝撃が直接伝わるので 壊れやすい部分です。
写真02
MGC から日本初のデリンジャーが発売されたのは1968年(昭和43年)でした。
当時、MGC 対高級玩具組合 という図式の中でハドソンから翌年に対抗馬が発売されました。
それは、MGC のコピーではなくオリジナルな機構を持つ物でした。
 
その後、組合員であるCMC、マルシンからハドソンのコピー品が発売されています。

刻 印

写真03
バレル上部に「DOUBLE BARREL DERRINGER」。
バレル左サイドに「Cal 41 Rim Fire」
右側には刻印は何もありません。

登 場

写真04
1969年8月号のGun 誌です。翌年に万国博覧会を控えていた頃で、日本の景気はすごい勢いで 拡大しており、世の中行け行けでした。モデルガン界も新製品がどんどん出てきて品揃えが豊富になってきました。

メカニズム

写真05
先に世に出たMGC の物は、ハンマー部が実物に忠実に作られていましたが、ハドソンはオリジナル設計で 対抗します。ラチェットを鉄板プレートにすることでハンマー造形が簡単になっています。
このユニークな仕組みは、このあとCMC 、マルシンもコピーしています。両社とも、いつ発売されたのかよく判りません。

CMC と比較

写真06
ロックナットで見分けないと良く判別できません。左がCMC です。
写真07
まったく同じ構造です。左がハドソンです。
ラチェットの回り止めが、ハドソンがハリガネなのに対し、CMC は板バネになっています。
これでCMC は、止めネジがひとつ省略されています。

調 整

写真08
ハドソン、CMC 、マルシン は同じ構造なので、同じ欠点を持っています。ラチェットプレートに うまくファイアリングピンが落ちないために上下の撃ち分けができないことがあります。
その時は、写真上のようにプレート凹に撃針が早く落ちるようにすこし削ってあげると良くなります。
 
写真下は、組み付け参考で、メインスプリング受けプレートの穴は前向きです。ハドソンの ラチェット止めハリガネは図のように組みます。

紙 箱

写真09
上の黒い箱の写真はネットで拾った物です。 下の写真はkingdam9-9 さんから戴きました。
エキストラッチが縦ミゾです。初期の物だと思います。
 
ハドソンは、すでに南部式を発売していましたが、何故かNo.1 の文字があります。 小さいからNo.1 にしたのでしょうか?

うんちく

写真10
南北戦争の終わりごろに暗殺されたリンカーン大統領。その際使用されたのがヘンリー・デリンジャー氏が 開発した小型のパーカッション拳銃でした。あまりに有名になったために、その後小型護身用拳銃を 各社がデリンジャーと呼び、発売しました。ですが、訴訟逃れのためにヘンリー・デリンジャーの DERINGER ではなくR をひとつ追加していました。それで現在では小型護身用拳銃の総称が DERRINGER と呼ばれています。
 
写真は、スペイン・デニックス社のモデルガンです。

謎のデリンジャー

写真11
写真左は、構造的にハドソンと同じつくりのものですが、メーカーが判りません。

写真12
フレームに工夫がしてあり、1体ではなくパーツを入れ込んで成り立っています。写真のようにネジでフレームに固定されています。作りやすくするためのコストダウンでしょう。グリップのネジも貫通していません。 何かご存知の方がいましたらぜひ教えてください。

おわりに

写真13
ちょっと変わったモデルガンメーカーであったハドソンさんが店じまいするのは、寂しいことです。 これでとうとうモデルガン創世記からの会社は無くなってしまいました。 エアガンの隆盛により、いよいよモデルガン自体も絶滅しそうです。弾が出る方が面白いですものね。 「科学」や「学習」も廃刊だそうで、プラモデルなんかもさっぱりですね。
 
子供の頃に思い描いていた夢の21世紀を迎えましたが、現実にはほとんど変わらない世界だなぁ・・と、思っていましたが、案外そうでもなく、外観よりも中身がいろいろ変わっちゃいましたね。

おまけ

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