写真21


写真00

大きな写真ですみません。たまには、縦で撮ってみようかと思いまして。
コクサイが、まだINT と言っていた頃のS&W ミリタリ・ポリスです。
2.5インチと6インチ銃身です。他に4インチがありました。

写真のようにバレルは右側からピンで止められていますが、貫通ピンではないので 打ち殺しです。


写真01

このように、左側にはピンは見えません。

子供の頃は、変なハンマーに見たことの無い小判型ラッチ(正確にはサムピース) に、「これはモデルガンだからこうなのだ」と思い込んでいました。 あまり、格好良いとは思っていませんでした。


写真02

コクサイの荒井社長(先代)は、ミリタリポリスが大好きだったのかもしれません。3回もモデル化しています。真ん中は、最初のモデルから10年後の1979年に登場した物です。 オールドS&W をコピーしていて、なかなかマニアックです。右は、現在も売られている物です。


初代登場

写真03

1970年2月号のGun 誌です。最初に6インチを出すなんて不思議です。
会社名はINT です。このモデルガンの原型は、六人部氏じゃないかと思います。


写真04

1970年12月号には、3種類のバレル長が揃っています。会社名もコクサイになっています。


試作品

写真22 Gun誌 1968年8月号(昭和43年)に六人部氏の原型写真が載っていました。面白いことに3スクリューですね。 まぁ、トリガー前に一本あるから4スクリュー状態ですが、この取り合わせは実銃には存在していません。下記訂正。

解説には、エアウエイトのモデル化ということが、ちゃんと書かれています。

ネットの情報では、米軍から廃棄されたエアウエイトモデルのパーツをドラム缶一杯分買い入れて、そこからこの モデルが誕生したと、まるで見てきたかのように書かれていますが、私には本当のことなのか創作なのか分かりません。



外 観

写真05

今でも売っているコクサイのM10(ミリポリ)と並べてみました。
すこしフレームが大きくてシリンダーは、小さいようですが、ほとんど変わりません。


写真06

6インチ銃身のほうは、バレル根元のテーパー具合が少ないので、いまいちな造形です。ほんの少しのことで格好悪く見える物です。


写真07

6インチのフロントサイトは、「こんなの、だれが作ったんだ」というほど格好悪くて、「うそっぽい」と思っていましたが、調べてみると実際のターゲットモデルが、このようなフロントサイトだったんですね。何も知らずに勝手にけなしていました。

なお、写真は伝説の早撃ちおじさん、エド・マクギバンが世界レコードを出した銃です。


写真13

どでかいグリップ・アダプターで、そうとう外見が損をしています。外してみたら判ります。アダプターは、フレームにねじ込みです。乱暴ですが、当時はこんな物でした。


写真08

なんとも、すっきりで、いま見てもちゃんとミリタリポリスです。
S&W 社が歴史的名弾・38スペシャルとともに発売し超ヒットした名銃です。 でも、ハンマーの格好が悪いなぁ・・と思っていましたら、これも実銃どおりに作られていることが 判明しました。なーにも知らずにこのモデルガンをバカにしていた自分が恥ずかしいです。


M12、M13 エアウエイト

写真09

http://www.collectorssource.com/item.asp?recid=2429

↑のページから、ぱくって来たS&W エアウエイトの実物写真です。正確には、同製品を空軍が採用してM13 と刻印を打ったものです。ミリポリの軽量型です。

小判型のサムピースに弱々しいハンマーが、もろにコクサイ風です。いえ、コクサイの方がちゃんとコピーしています。この実銃は、大変珍しい物です。


写真10

日本でもかつて売っていたムック本に写真が載っています。
きっと六人部さんは、在日米軍の空軍基地でM13 を取材させてもらって作ったのでしょうね。


写真17

S&W M12、13 は5スクリューの旧型で、それ自体がそうとうにレアな品物です。


5スクリュー

5スクリュー図

5スクリューとは、サイドプレートの4本のネジとヨーク下からボルト(シリンダストップ)を押さえるバネを止めているネジも数えます。図の順番はてきとうです。ハンドのテンションのかけ方が、昔はトリガーに穴を掘ったこんなふうだったのですね。

この珍しい5スクリューモデルですが、なぜか日本のモデルガンの草分け、MGC はこのタイプばかり製作しています。特に357 コンバットマグナムは、じっさいにボルト用バネを5番目のネジで外から 止めています。


メカを見る

写真11

メカは、かなりS&W 実物に近い物です。形状こそ違いますが、基本動作は全部コピーできています。ボルトやハンドは鉄製です。エジェクターロッドも逆ネジになっています。 リボルバーモデル自体が希少な当時にしては、画期的製品だったことが見て取れます。しかしまだ、センターシャフトは通っていません。エジェクターロッドの先端とエジェクター後端でシリンダーは ロックされています。


写真12

この機構は、同社のチーフにもそのまま適用されています。同時発売で改良されました。
これでコクサイチーフは、MGC から丸ごとコピーしていた外観はそのままに、 中身だけ生まれ変わりました。リバウンドスライドが付いた本格的モデルガンになりました。


写真14

5スクリューに近い位置には、ヨークを止めるネジが設けられました。 チーフも同じです(右側)。


カート

写真20

ミリポリは、かなり長い間売られていましたので、カートの種類も幾つかあると思われます。
このカートは、最も古い頃のものです。コクサイの昔のカートはこのようにリムが大変薄いものが多く見られます。 遊んでいたらリムが削れちゃって単なる真鍮棒になってしまいました。

実物ダミーの38スペシャルと並べていますが、ケースと同じ長さです。


写真15

  1. スタンダードカタログ・S&W

    この本一冊あれば、ほとんどのS&W 製品 の知識が得られます。
    写真がカラーで綺麗です。創設から現代までの銃が載っています。
    amazonなどで普通に購入できます。お勧めです。

  2. ヒストリー・オブ・S&W

    S&W の公式サイトで売っている本です。写真は白黒ばかりですが、S&W 社の詳しい歴史が 書いています。メカのイラストや年号もしっかりしていて大変お勧めです。
    S&W サイトで購入できます。

  3. ムック本・S&W 銃器編

    この本だけ日本語です。大昔に購入しましたが、たいへんまじめで美しい本です。とくにS&W 44オートのカラー写真は、この本でしか見たことがありません。たいへんお勧めです。

  4. オークションで狙ってください。

おわりに

写真18

子供の頃から、格好悪いモデルだと思っていまいたが、とんでもありませんでした。M12 をコピーした、たいへん良い製品でした。思い込みで物事を語って大恥じをかくところでした。

写真の4インチは、後期の販売品です。
フレーム上のS&W マークがMT マークに変わっています。


追記・初期の紙箱

写真19

これは、貴重な初期の頃の2インチ用紙箱です。
モデルガン讃歌・papa さんのブログからお借りしました写真です。有難うございます。
のちにコクサイはドイツ軍のようなイーグルマークを採用しますが、 この箱にはアメリカの国章のようなものが描かれています。


分解図

分解図

S&W オールドカタログ

カタログ S&W のオールドカタログの一部です。このカタログにはチーフのエアウエイトも載っていますので1951年ころの物ではないかと思います。写真右のミリタリポリス・エアウエイトのハンマー形状はコクサイの初代ミリポリと同じ形です。