写真00

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MGC のブローバックモデルガン、SW44 オートです。
MGC は、このようなマイナーなモデルをよく取り上げたと思います。
1971年にブローバック第2弾として登場したものです(第一弾はベレッタ34)。


登場

図28 MGC 機関冊子のビジェールよりコピーした資料です。
ベレッタの方が後ろに載っていますが、実際は発売が早かったようです。 銃口閉鎖、金色塗装の46年規制の年に発売されたようで、なんとも運が悪かったですね。 MGC は、のちの52年規制の時もブローバックのMJQ が引っ掛かって一年しか発売されませんでした。
写真01

写真の箱は、古いタイプの総ダンボール製を復元したレプリカ品ですが、 製作者の熱意が感じられる完璧複製です。チラシもコピーです。

MGC S&W 44 は、当時1万円もして、子供がなかなか買える品物ではありませんでしたので、 けっこう珍しい物です。


写真02

刻印はこの一種類だけのようです。


写真03

最大の特徴、短いセフティと上部がまっすぐなグリップです。
この素晴らしい木製グリップは、アンクルが限定発売した物だそうです。 オーナーにより亜麻仁油が染込まされ、良い感じに仕上がっています。


写真04

左はS&W 社 純正のM 39 の実物グリップですが、MGC にも取り付けられます。 グリップ上部にセフティの切り欠きがM 39 には、あります。M 39 は、M 44 よりもセフティが長いためです。


写真05

この、実物を彷彿させる長く伸びたエキストラクターがいいですね。
撃発部と一体なので前後に動きます。でも、旧型にしかありません。


前期、後期 型の違い

写真06

当初のモデルが左で sm規制後のモデルが右です。
エキストラクタが単なるモールドになっています。また、銃口を閉鎖されたため チャンバーにガス逃がしの穴があけられています。


写真07

エキストラクタは、ファイアリング・ブロックと一体なのですが、この部分が 後期型では全面改良されています。左の旧型はピンを抜いてファイアリングブロックを抜きますが、 右の後期型はボロっと落ちてきます。
材質も変わっていてハンマー、シア、ファイアリングブロックともに前期型はステンレス製です。
後期型は、鉄製です。


写真08

残念な事に後期型のスライド上部には飾りのようなピンが二本打込まれています。 おそらく、スライド内部のインサートをとめている部品だと思います。リアサイトはモールドです。

バレルにもガス逃がしの穴が見られます。
バレルのピン穴を見ると判るように、このモデルはストレートブローバックです。


マルシン・M39 と比較

写真10

マルシンのプラスチックモデルガンM39 と並べてみました。 マルシンにも完全に実物グリップが装着できます。マルシンのエキストラクタは、S&W 実物どうりです。
フレームの厚さがMGC のほうが、すこし薄い気がします。


写真11

MGC もマルシンも実物をちゃんとコピーしていますので、セフティ長さや セレーションの刻み方に違いが見られます。


参考書籍

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S&W 44 は、M39 のための試作品のようなモデルで10丁くらいしか製造されていないそうです。 実物写真はたいへん珍しくインターネット上でもなかなか見られません。
ですが、数十年前に購入したこの本にバッチリ出ています。


写真13

この写真を見るとMGC がきちんとコピーしている事がわかります。
余談ですが、実銃のSW 44 のメダリオンとネジの位置関係が入れ替わっているのが見られます。SW 44 だけの特徴です。

このムック本は、同時発売されたコルト編もそうですが、たいへん価値のある本だと思います。
執筆は海外の方なので専門洋書にも負けていません。お勧めします。


カート

写真14

MGC SW44 は、ブローバック・モデルしか存在しませんので、カートも一種類です。
このカートは、のちにP-38 MJQ にも使用されたそうです。 左端は、実物9mmダミーカートです。


写真15

今では、入手できない物ですが、この素晴らしさを感じて欲しいですね。重くって、こんなモンが 本当にブローバックしたのだろうか?と思ってしまいます。
スライドのガタも少なく、動きがシャキッとしていて ハンマー音も鋼鉄の響きがします。

各種パーツに鋼を使用し完全に遊べるモデルとして造られています。MGC の魂を強く感じます。


分解方法

写真16 久しぶりにバラそうとして、完全に方法を忘れてしまっていたので、参考までに書いておきます。

フレームとスライドが面一のところでスライドストップを抜きます。


写真17 するとスライドが抜けます・・・って抜けねーじゃんけ。
ゴムのバッファが入っていますので固いです。右手でディスコネクタを抑えながら スライドを親指で前進させます。ゴムの引っ掛かりが取れたら、いきなり前方にスライドが飛び出しますので 要注意です。この時にトリガーガードに指を入れてはいけません。ハンマーが落ちる可能性があります。 バラす時は、ハンマーを起こしておくように説明書は書いています。


写真18 スライドが外れたらブッシングを外します。ネジになっています。前期型、後期型とも 同じネジです。


写真19 リコイルガイドを「コノヤロー!」というくらい力をこめて支えるとバレルが取れます。
初めは判らなくてC リングをバラしました。


写真20 バレルに装着されたエジェクター方式は、このあとMGC から発売されたGM-2 にも引き継がれました。


写真21

でっかいシアー、鋼鉄の撃針、ハンマー。どれをとっても発火して遊ぶことを充分に 考えて設計されています。それでいて簡潔構造で部品も少ないです。素晴らしい出来栄えです。

シアスプリングが板バネなのは、ちょっと?ですが(弱まる)。


写真22 二枚舌ならぬ2枚ストラット。決して曲がる事はありませんね。


写真23 マガジンキャッチは、小さなボールが入っていますので紛失注意です。


写真24

組み込む時には、リコイルガイドのCリングが、確実にバレルにはまり込んでいる事、また きちんとバレルセンターになっているかを確認して組み付けます。そうなっていないとスライドが引けなくなります (経験者・・)。


夢のあと

写真25

亡くなってから有名になられる方もいらっしゃいますが、まさにこのMGC SW 44は、そんな感じです。売っている時は高い価格に手は伸びませんでしたが、入手できなくなると逸品であったことが見えてきます。

このモデルは、マニアックな機種で遊んで楽しく壊れない、という思想で設計された、MGC そのものを形にした 物です。間違いの無い名品です。

オーナー様方、大切なお品を貸していただき有り難うございました。


追記・初期のBOX

箱の写真

初期のころの箱は、ダンボール製で中身も発泡スチロールではなくダンボールでした。


チラシの一部

写真26

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追記・ナゾのネジ角度

ネジの絵

初期の製品にリアサイトのネジ角度が違う物が存在します。
ここは、金型による鋳造なので、本来はすべての製品のネジ角度は、上のイラストの角度で同じなはずです。
しかし、赤矢印で示したネジ角度の製品が存在しています。
金型にすこしの修正が加えられたのかもしれません。


分解組立解説

分解解説チラシPDF そのむかしMGC から発行されていましたメカニズム解説のチラシです。PDF ファイルへのリンクになっています。 ダウンロードして印刷してご覧ください。ブラウザにプラグインが入っていればそのままクリックで見られます。

sm 期の後期型です。A3 で両面印刷すると良いように作っています。


おまけ分解図

前期型 後期型
前期型 後期型

おまけビデオ

むかし燃えていたころのビデオです。今は放置プレー状態です。