ナカタ・ブローニング・ハイパワー

亜鉛ダイキャスト・モデルガン
写真0
ナカタのハイパワーです。実銃は9mmパラベラムを13発装填できることからハイパワーと呼ばれました。 むかしは、今のようにダブルカアラム・マガジンは一般的ではなく、このハイパワーは驚異的な装弾数を誇っていました。

モデルガンのほうは、製造はマルシンで販売がナカタだと思います。昭和50年ごろからマルシンでも販売され ナカタと両社で売られていました。


写真01
上のモデルが業界自主規制のsmマークで下の王冠マークの方が古い物です。まだsm規格はありませんでした。
昭和46年に金色規制になる前に、実銃ではない証に王冠マークを付ける自主規制になりましたが、金色規制になっても 王冠マークは残っていました。sm規格前に王冠はなくなりました。 下のモデルは、昭和47年ごろ私が初めて新品で買ったモデルガンで想いで深い物です。
ルパン3世第一シリーズの頃で第一話からリアルタイムで見ていました。また、ワイルドセブンのテレビ版が 始まったのもこの頃で、影響された私もMGC トンプソン買って撃っていましたが、テレビのように連発は出来ませんでした・・悲しい。


写真02
メイド・バイ・ナカタと刻印があります。
2つともスライドストップがオリジナルではありません。

当時中学生だった私は、ナカタが一番、CMC が2番、MGC は3番という順位で捉えていました。 そのうちCMC のP-38 を購入してからCMC の順位が1番になりました。
MGC は、3番のままでした。 ちなみにマルシンやハドソンは眼中にありませんでした。
マルゴーは最下位視していました。


写真03
昭和47年もののオリジナルマガジンが右側です。左は、52年規制以降に販売されたマルシンのABS ハイパワーの物です。
マガジンキャッチ部分が少し違います。右のものはパーカーライジングという物か、不思議な塗装です。


写真04
13連発なのだから13発入れて遊んでいたら、マガジンの口が開いてカートが飛び出すようになってしまいました。
左の新型マガジンは、点溶接が5箇所と強化されています。


写真05
このモデルガンは、お気に入りだったので良く遊んだため、よく壊れました。
当時の部品箱に壊れたパーツが残っていました。スライドストップは3個めです。
一つ目は金粉塗装でしたが今入っている物は3個目で金メッキになっています。
ABS 用の物も少しの加工で使用できるそうです。


写真06
ファイアリングブロックも泣き所です。割れます。


写真07
スライドストップも脆い。これは30数年ぶりに記事を書こうと引っ張り出して、いじっていたらパキンと音を立てて割れました。 大ショック!30年も、もっていたのに・・。
仕方ないので左のABS ハイパワーの物に取り替えています。すこしゆるいですがそのまま使えます。


写真08
ABS ハイパワーと同じメーカーだけあって大きさは同じですね。
ABS ハイパワーのシアスプリングは互換性無しですが、かなりのパーツが使えそうです。


写真09
左のメッキハイパワーのマガジンキャッチは、オーナーが根性でABS 用の物を取り付けています。 板バネが無いのがわかりますか? フレームに細い溝を掘って実銃のようにしています。また、グリップもABS 用の物です。右のオリジナルに比べ チェッカーが縦長です。少し加工しないと取り付けられません。
しかし、ABS モデルのおかげでレストアできるので助かります。


写真10
モデルガンの構造は、SIG P-210 のような銃身です。実物の落ち込み式とはずいぶん違います。 実銃の方の落ち込み式は、現代のほとんどの自動拳銃で採用されています。


写真11
落ち込み式ではないので、本当ならトリガーの上にあるはずのブリッジが存在しません。


写真12
ネット上でグリップ後部にストック用のミゾが切ってある物を見たことがあります。 それが、製品として存在した物かカスタムなのかはよく判りません。


情報感謝です

その後複数の方より、初期にはミゾ入り製品があったことを教えていただきました。 図のような物です。

有難うございました。


写真14
ナカタの古いカタログには、アンクルアタッチメントが載っています。
私が興味を持ち出した頃は、すでに銃口閉鎖された46年規制後ですが、バレルエクステンションなど は、まだ売っていました。P-38 用を通販で頼んで購入しました。当然取り付けられませんでした。


写真15
当時のナカタのカタログには、いろいろなバリエーションのハイパワーが載っていて そのうち販売される物だと思っていましたが、金属モデルでは販売されませんでした。
しかしABS シリーズになってから多くのバリエーションが販売されました。
今でもガスガンが販売されているので、人気もあるのでしょう。


写真13
天才ブローニングの生涯最後の拳銃設計となったハイパワー。完成はFN 社の技師による物で ブローニング自身はこの形を見ていないでしょう。ナカタのモデルガンの元になったのは カナダ製のモデルで、ナチスドイツによる占領からカナダに逃れたエンジニアによって製造された物です。 リアサイトが盛り上がっている事が特徴です。 したがって第二次対戦中は、敵味方で同じ銃が使用されたということですね(ハイパワーはドイツ軍も採用)。


写真16
天才ブローニングの残した偉大な成果。ガバメントとハイパワー。
力強さのガバメント、エレガントなハイパワー。構造上も同じ作りを採用していません。
天才たるあかしです(写真上はホビーフィックス製)。

子供の頃は、ガバよりハイパワーが良いと思っていました。
なんたって「天才ブローニングの設計だぜっ」。
最近になって、ガバメントもそうなのを知って恥ずかしくって笑ってしまいました。
しかもベルギー人だとばかり思い込んでいたブローニングが、まさかのアメリカ人だなんて。 思い込みだけで物を語ると大恥をかくところでした。


追 記・ミゾ入り製品


ミゾ入りハイパワーを借りてきました。ごく初期の物だけに存在していたのかと思っていましたが、メッキモデルでもあったのですね。左がミゾ入りです。


あとから切削された物ではないようです。刃物あとがありません。中子で抜いた感じです。


王冠がなくてメッキですのでsm マークが始まる直前の1974年ごろの製品ではないかと思われます。貴重な物をお借しいただき有難うございました。

ちなみにこの頃は、箱も同じデザインで、写真の物よりも一回り大きくなっていたようです。
ミゾのおかげで、しっかりアタッチメントが嵌められたことでしょうね。


また追加情報を頂きました。写真に撮った分解図は実銃の物ですが、ナカタの初期の頃のハイパワーは、図のようにネジ式になっていたそうです。写真のモデルガンは、ピン止めになっています。

また、ストック用のミゾも、あと切削であったそうです。ちなみにミゾは幅が広いため、のちにマルシンから発売されたプラ用のストックはブカブカだそうです。


追記・ミゾのあと加工


ハンネ、heiheiho さんからミゾのあと加工の判る写真を頂きました。
貴重な資料を有難うございます。

エンドミル(刃物)で削った跡が、はっきりと見て取れます。この製品は、ツールマークがクッキリと見られますが 普通は見えない物の方が多いようです。製品のパーティングラインを消すためのサンドブラスト処理で ツールマークは消えていたのかもしれません。


紙箱あれこれ


写真05

中田の箱には大小があり、後期のほうが箱が大きいです。
小さな箱の方には、写真のように銃がギリギリで収まっています。


おまけ

分解図のJPG が別窓で開きます。→  分解図へリンク


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