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実によく出来たモデルガン、ナカタのトカレフです。
今ほどなじみがあるモデルではなかった時代でしたが、正確にモデルアップされています。
安全装置が無いなど、完全に軍用拳銃として特化したもので、人を撃つためにしか存在しない
不気味さを漂わせています。暗いイメージからか、他社ではモデルガン化されなかったため、金属製では、ナカタ製のみが存在しています。
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特徴あるスライドストップのクリップ、セレーションの刻みなど外観をよく再現しています。想像ですが、実物を見ながら作ったのではないかと思われる完成度の高さです。
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ホビーフィックスのガバメントと並べています。
45口径(11mm)と30口径(7.62mm) ですので、これくらい大きさが違うのでしょう。
トカレフは、基本的にはブローニングデザインを参考に作られています。
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刻 印
実銃のトカレフには、スライド刻印は入っていなかったようですが、モデルガンという商品としては、あまり本物っぽくないと思われたのか、ナカタにはそれらしく刻印が入っています。
ロシア文字でしょうか?
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右側にNAKATA のバナーが入っています。初期のものはmade by NAKATA と入っています。
その前方に王冠マークの金型を修正した跡があります。
王冠マークは、モデルガンが黒いころにオモチャの証として1969年より自主規制で付けられるようになりました。当時は黒いモデルガンでした。しかし1971年の46年規制により黄色に塗らないといけなくなり、一目でオモチャと分かる様になった為、1974年頃には金型が修正されて王冠マークが無くなっていました。sm自主規制は1975年からですので、王冠以前より存在していたトカレフには、
黒色王冠なし、黒色王冠あり、黄色で王冠、黄色で王冠なし、sm刻印の5パターンがあります
(sm期に製造されていれば)。
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登 場
Gun 誌の1967年9月号です。まだ、製品写真ではなく六人部氏作の鉄製の原型が
写真に載っています。これには、スライド刻印はありません。
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鬼の省力化
トカレフは、ソビエト社会主義共和国に参加している多くの国力の弱い国々でも
生産できるように加工しやすいようにデザインされています。
スライド先端の切削もガバメントのように曲線ではなく直線で切削するようになっています。
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バレル下部もガバのほうは、下側を綺麗に削っていますが、トカレフはロッキングラグを残したままです。下側は、ロックにまったく関係ないのですが、削る手間を省いています。
ナカタのモデルガンもきちんと実物を再現しています。
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グリップは左右ともネジが必要ない止め方で、たいへん変わっています。
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メカを見る
少ない部品で構成されている実物をよく再現しています。
ハンマー関係一式がハウジングで取り出せるところなど素晴らしい出来栄えです。
このアイディアは、フレンチ1935 に伝わり、その流れで SIG P210でも採用されています。
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重箱突っつき隊
あんまり良く出来ているので、ついつい実銃と違うところに目が行ってしまいます。
トップリングは実銃では180度回して外しますが、ナカタは60度くらいです。
バレルは、前方へは抜けません。ファイアリングブロックを外して内側に取り外します。
・・・と、思っていたのですが別の個体で前方に抜けることを確認しました。
ファイアリングブロックは、六人部式で、亜鉛だとたいへん壊れやすいパーツです。
六人部氏は鉄でしか作らなかったからこれでよかったのでしょうが、製品は亜鉛製ですので
ナカタの自動拳銃はみんなここが泣き所です。
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ブリーチ部分が別パーツに変更されています。亜鉛鋳造のために変更されたのでしょう。おかげで、本来下側に回して抜けるトリガーは、ブリーチを取ってからでないと
抜けなくなっています。
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この、トリガーを抜くためにトカレフのトリガー上側が大きく丸く削られています。それによりガバメント式のトリガーだった、TT-30 より、ずいぶんフレーム加工が省かれました。
TT-30 の珍しい写真がたくさんあるページを紹介しておきます。
http://www.euroarms.net/ITEMS/TokarevTT30.htm
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カートは、本物のボトルネック弾と違って、ごく普通のものです。
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実に良く出来たモデルガンですが、1977年の52年規制により消えてしまったのは、たいへん残念なことでした。
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ホルスターは、中国製トカレフである54式拳銃の実物用です。
オーナー様、たいへん貴重なものを貸していただき有難うございました。
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おまけ
分解図のJPG が別窓で開きます。→
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