2007年頃、CAW はタナカから部品の供給を受け Kar98 とライフルの98b という2機種を発売していました(スポーターも?)。 そのうちのCAW 限定発売の長銃身ライフルである98bを紹介します。150丁限定生産で定価は98,000円だったようです。

Kar98 の方はタナカと同じハードウエアにCAW独自の刻印が各所に施されていました。


雑誌掲載

写真28 ガンズダイジェストの2011年版に載っていました。価格は5%の消費税込みです。

チラシ

写真00 この黄色いチラシが、CAW 98b の全てを表しています。

おそらく手間、費用がかかりすぎるために断念されたと思われるリアバンドの絵がきっちりと入っています。 そうなんです、カラビナーでは無いゲヴェーア98ライフルは、スリング掛けが下についているんです。 カラビナー(騎兵銃型)は、スリングかけが左側に付いていて、それに合わせてストックにもスリングを左から入れ込む穴があけられています。 ですが、CAW製品のストックはスリング差し込み穴が無いゲヴェーア型で、リアバンドは左側にスリング通しのある物がついていて、その部分だけがカラビナーであり、なんとも 中途半端な製品となってしまいました。おかげでWEB でボロカスに書かれちゃったりもしています。CAW ファンの私としては、大変残念なのです。

CAW のモデルガンは、もともとGew98 として作られたのですが、リアバンドだけが左通しな為にKar98b でもなく架空の98bという製品名で 販売されてしまいました。当ページ後半では、Gew98 のリアバンドを入手して、本来のCAW製 Gew 98 として生まれ変わってもらいました。


販促チラシ

写真29写真30

もともとは、A4縦の一枚チラシですが、パソコンで見やすいように2つに切り分けています。


実銃写真

写真01 ネットから取ってきた実銃の写真ですが、CAWの製品はストックに穴が開いていないからGew(歩兵銃)であり、エイリアンサイトではないので この写真で言うとGew98mと、いうのが正解でしょう。

ちなみに98mのMとは、おそらく Modification のエムでしょう。メジャーな分類ではなくって、Gew98 のマニアックなバリエーションの一つのようです。 推察するところ、Gew 98mとは、第一次大戦後に組み立てられた小銃やリビルドされた 小銃のことを言うようです。

大きさ、38歩兵銃と

写真02 タナカのモデルガン、38式歩兵銃と並べています。こうやって見ると38式ってのは、すごく長いんですね。

外観の特徴・ボルト

写真03 ボルトのハンドルがまっすぐになっています。と、いいますか実銃ではもともとこっちのスタイルの方が 古くて写真下の90度に曲がった方が、あとからの登場です。
写真15 ストレートハンドルは、ボルトの根っこでハンドルを切断して入れ替えられています。
CAWのハンドルは、鉄製です。
写真07 社長のこだわりが見られる削り出しのエキストラクターです。ちなみにCMCのころからですが、写真の青矢印の実銃に存在するボルトの第3ラグは モデルガンでは省略されています。

外観の特徴・その他

写真04 撃針分解用のストックの金物も少し小さめのようです。下の写真のKar(騎兵銃型)のようにスリングの通し穴が存在しないのでCAWの ストックは間違いなくGew(小銃型)なのです。しかもスリング取付具はワンタッチ式のGew用金具がハマるタイプです。
写真05 リアサイト付近には指掛けの溝が掘られています。実銃では、もう少しだけ長いようにもあります。この溝は、存在する物と、しない物が すごくあって、どこにその差があるのかは私にはわかりません。年代なのか収める先なのか製造工場によるものなのかわかりません。が、ドイツ向けではない製品の方が溝ありのタイプが多いようです。
写真06 さあ、ここが問題のリアバンドです。正式英語ではロアーバンドなのかもしれません。
写真下のCMC Kar と同じ製品が使われています。なぜこのようになって しまったのか聞いてみたいところですね。自分なりに勝手に想像してみました。
  1. リアバンドを自作しようとしたが高価になりそうなのでやめた
  2. 海外から本物を輸入しようとした
  3. 許可が下りなかった
  4. しかたなく見切り発車した。
なんてことはなかったのでしょうか?

刻 印

写真17 書籍にある刻印とシリアルナンバーをそのまま再現しています。
王冠は、エルフルト工廠のマークかな? ←間違いでした。スパンダウ工廠のようです。Znは分りません。 ←分かりました。

Zn は、ツァイエーン軍需工場(Zeithain Munitions Establishment) で組みなおされたGew98 のマークです。また、元々がスパンダウ工廠で1917年に組み立てられていたものをリビルドして 1926年に生まれ変わらせた刻印だそうです。こちらに別シリアルの同じ銃が載っています。その説明書きに書いてありました。 (すでに閉鎖)

https://www.gunbroker.com/item/764189748

と、いうことでCAW の製品はGew98 m だと確定しましたね。それにしても上のページの銃はすごいです。第一次大戦後に組み立てなおされたもので、パーツのシリアルナンバーが全部違いますね。 敗戦国であるドイツの姿を現しているのかもしれません。


メ カ

写真18 バレルは真鍮のブロックで延長されています。イモネジで固定されているので、すこしグラつきます。 CMC製には存在したチャンバーの前撃針はありません。ですからダミーカートも装填できます。

セフティの修繕

写真27 私のCAWは、セフティが通常モードから90度回転した分解モードまでしか動かなかった。 他の方の意見も読んだことがあったので、他の個体にも同様な現象が起こっているかもしれないと思い 修繕方法を書いておきます。

上写真の右側は、正常にセフティが180度回るCMCのモデルガンのコッキングピースです。 左は、CAWで90度までしかセフティが回りません。写真にあるようにもう少し当たりが出てきたら 治ると思うのですが、右のパーツくらいにヤスリを当てて面取りするとセフティは回転するようになります。

これは、セフティレバーが180度に回る際に撃針スプリングを一度圧縮するためコッキングピースが動く余裕が無いと いけないことによります。このへんのメカは、実物とは違った作りだと思います。


カート

写真08 一番右がCAWのカートです。CMC時代よりも先端がすぼめられています。
左からショウエイのFG 付属カート、タナカのKar98 カート、CAW のカート。

CMC、CAW そろい踏み

写真09 わが家のモーゼル98たちです。上からCAW、CMC、CMC カスタム・イラニアン(キヨノアームズ)です。

パレード用フック

写真19 カラビナーには無くって、ゲヴェーア型のみにパレード用フックが存在します。このフックはGew 88 にも見られます。 銃を肩に抱えて行進するときにスリングがダラリと垂れ下らないように、このフックに引っ掛けてピンと張るためにあります。

ドイツ人ってのは、こういう見かけを大切にするんでしょうか?非常に進んだ機械を開発する人たちなのに、なんだか逆行するように 感じる部分です。写真左側は実物レプリカで、本物はこのように2個のパーツで出来ています。右がCAW の物でタナカの亜鉛製パーツに 鉄製のフックを差し込んで作られています。

参考ですが、ウィンドラスの銃剣を装着するには、銃剣ラグをすこしヤスリがけして削る必要があります。 CMC、タナカ、CAW 全てに言えます。
ほんの数回、ヤスるだけなのでやりすぎないように注意が必要です。 また、私の場合はクリーニングロッドを外さないと銃剣を装着できませんでした。実銃はもちろんロッド有りで 着剣できます。

パレード用トリガーガード

写真10 パレード用フックにスリングをひっかけるときは、ストックからスリングを外して、トリガーガードにある穴に差し込むようになっています。 残念ながらモデルガンには、この穴はあけられていません。
写真11 この兵隊さんの写真にあるように、写真撮影時のスリングはピシッと張られていないといけなかったようです。にしても長い銃剣ですね。

バレルバンド

写真12 本物のバレルバンドは、このような形をしているのですが、そのものずばりの製品は入手できませんでした。
写真20 これが入手できたものです。見た目は細くて、ちゃんと入るのかなと心配しましたが、どんピシャリにはまりました。 最初に設計したCMCの製品作りに感謝です。しかし黄色矢印のようにバンドが細いのでロックできなくなっています。そこは今後に改善するとして、 なにはともあれ、これでやっとスリングを取り付けられます。本物のGewehr 98 に生まれ変われるのです。

スリングの話

写真14 スリングは、Gew98 用がアマゾンjpで売っていましたので購入しました。
発送連絡から数週間しても到着しないので問い合わせをしたら別の品を1週間で送ってきました。インドの会社のようです。 誠意を感じました。 つくりは、それなりにチープですが、ワンタッチ金具やフック取付部など Gew98 スリングをきちんと再現しています。

買おうと思われる方は、3万オーバーで出品している会社もあるので間違えないように気を付けてください。3,500円くらいが正解です。


写真16 この本に従って取り付けようとしましたが、長すぎて組めません。実際のスリング取付方法は、どうだったのでしょうか? パレードフックに引っ掛けるパーツ=パレード・ループは、スリングのどの部分に入れるのが正解なのでしょうか?ここが判らずにかなり調べました。
写真13 結果、上の3枚の書籍写真にある組み方が正解なことの根拠が発見できました。1920年のドイツ軍のマニュアルにイラストが載っていたからです。 eBay で販売されているものです。このイラストにあるのがパレード・ループの組み込み位置です。
写真21 と、いうことで長すぎるスリングを21センチ切断して組み込みました。写真上のスリングは、購入時のもので パレード・ループの位置は間違っています。実際は青い矢印の位置に組み直します。

めでたく完成 CAW・Gew98

写真22 これでとりあえず完成です。トリガーガードの穴はあけていないのでごまかしていますが・・。 あとは、いつかエイリアンサイトを載せたいものです。また、ストックの色も黒すぎるので塗り替えたいですね。

ともあれ、これで本来の姿を取り戻して、モデルガンも喜んでいることでしょう。


スリング追記

写真25 あとから購入した資料本にスリングの長さの書いた図面が掲載されていました。 それで測ってみましたが、図面では966mmですが自分で切った物は8cmほど長いですね。 写真上でライフル弾先端が図面の長さです。図面どうりの長さでは、取り付けるのがギリギリで大変そうです。

つわもの

写真23 関東地区でサバゲーをやっている方のツイッターから写真を拝借しています。この方は、相当にマニアックなつわものです。 エイリアンサイトをプラスチック製だと思うのですが再現しています。また、一番下はカラビナー98a も再現しています。 しかもGew98 の方は2丁ともトリガーガードに穴もあけています。恐れいりました。完全に負けました。でもスリングの掛け方だけは 勝っていますね、えっへん。ちなみにこの写真のスリングの掛け方は、ポーランドのモーゼルライフルに見られます。ポーランドの方が スリングが長いのでしょう。

参考資料

写真26

分解図

CAWの製品には、CMC Kar98 分解図のコピーが入っていました。パーツ単位では売らないようで価格が消されています。

分解図