写真x ミロク精機製モデルガンです。これが中田で売られていた物だと思っていますが
実際に当時お店で見たわけではないので、 確証はありません。

六研製

写真01 ↑1965年8月(昭和40年)のGun 誌の記事、広告です。
クリックで拡大します。
写真02
ハンドガンのモデルガン界では、MGCが直営店を出し新製品のブローニング380 を住民票提出でないと 販売しないという大騒動が持ち上がっていた頃、長物界に新たな動きがありました。

従前から悲惨な戦争の記録を残したいと思っていた中田忠夫氏の中田商店から旧日本軍を象徴する 三八式歩兵銃が売り出されました。
記事によりますと当初手作りで少数販売でしたが好評につき値下げして量産体制で販売するとのことです。

想像ですが、当初の手作り品が六研製で、そのあとの量産品が鋳鉄製とあることから、おそらくミロク製造ではないかと思っています。


六研と比較

写真09 モデルガン・クラシックスというムック本に六研の記事が載っています。もともとは、Gun 誌 2003年08月号のくろがねさんの 記事です。これを見ますとミロクは六研製のコピーだとよく分かります。マガジンが一体型、ボルトストップが同じ、ストックが 角ばっている、そうして何より「東京六研複製 」と六研のレシーバーに刻まれていることです。ミロクには同じように「ミロク精機製作所複製 」と刻印があります。そうだったのか、状況証拠からミロクの三八式は、六研・三八式を参考にして製作されたコピーだと確信しました。想像するにミロクさんは中田商店から六研製を渡され、これと同じものを作ってくれと頼まれたのでしょう。
写真08 ミロクの刻印の中にはニッサンミロク時代のマークの入ったものも見られます。写真はアマゾンから引用しました。 写真の下側はマークの無いものです。

Gun誌 広告

写真03 上の1965年の広告から随分経った1972年の広告に38式歩兵銃が載っています。 その間、大きな広告はせずに少量販売があっていたのかもしれません。

このころは、昭和46年(1971年)にハンドガンの銃口閉鎖及び金色にする法律改正が行われた結果、ハンドガン市場が無くなるとの危惧から モデルガン各社が長物に活路を見出そうとしていた時代でした。


外 観

写真10写真11写真12

写真13写真14写真15

写真ではどれくらい分かるか疑問ですが、ストックの角ばりは凄いです。タナカの99式と並べていますが、ミロクは凄く角ばっています。リアサイトは何故か後期型のピープ型で、しかも中の動くコマにはバネ式のストップがありません。手抜きです。フロントサイトは、初期型のガードなしタイプです。セフティは中期の凸有りタイプ、ボルトストップは六人部式ネジ有り、バットプレートはカップ式ではありません。

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ネットでの写真を見るとミロクのリアサイトには、Vノッチ型もあったようで、セフティも後期タイプの凹型もあったようです。 ちなみに六研は凹型ですね。このようにミロクには、三八式の初期、中期、後期型のパーツが混在しています。

モデルガンのコレクションとしてミロク・オリジナルの状態として保存するのか、はたまた実銃の三八式の初期型や中期型に合わせてパーツを変更して戦時中の時代に合わせるのか、オーナーさんにとっては悩ましいところではないでしょうか?


参考書籍

写真16 初期型とか中期型っていうのは、こちらの書籍を参考にさせていただきました。鮮明な写真が多くて大変参考になります。

メ カ

写真04 実物分解写真と並べています。ミロクはマガジンがトリガーガードと一体式ですね、そういえばタナカもそうでした。 さく丈止め部分もタナカと同様に省略されています。ボルトストップも同じ構造です。六人部式です。

ミロクの38式にはダストカバーをはめる溝が切られていません。
したがってダストカバーは装着できません。
しかし、ネットの情報によるとショップカスタムで溝の切られたものもあるようです(未確認)。

また、ネット情報によると最後期型のミロクには、バレルがハンドガードで隠れたところには存在しないものもあるとのことですが 確認できてはいません。


写真17写真18写真19

ファイアリングピンはボルト面に出てきません。セフティは実物よりもシャフトが細いです。銃剣もロック位置まで挿入は出来ませんでした。昔は実物パーツが装着できないことが正義だったのかもしれません。ストックは残念ながらアリ溝結合ではありませんでした。

借りてきたこの個体だけだと思うのですが、装填排莢が全くできませんでした。エキストを止める輪っかがでっかくてカートに当たってしまい、装填すらできません。こんなの珍しいです。中古の品物なので新品の時にはどうだったのか分かりませんが、新品からだったらクレームものです。


カート

写真20 これまた純正なのかは分かりませんが、7.7mm弾のようなカート2発が付属していました。写真の左から実物6.5mmダミー2個、ノルマ社のダミー2個、ミロクカート2個、ノルマ社7.7mmカート2個です。ミロクのカートは内側がえぐられています。

写真21 残念ながら前述のようにまったくカート遊びは出来ませんでした。

また、6.5mm弾でもうまく出来ませんでした。 エキストラクタも弱くてちゃんとリムを咥えられません。


おわりに

写真22 中古品をお借りしましたので、なんとも言い難いレポートになりましたが、鉄製だけあって動きは気持ちいいものがあります。 装填排莢はいろいろ調整が必要そうでした。なかなか見られないものをお貸しいただいた、オーナー様、有難うございました。

実物図

写真05 国会図書館デジタルから「三八式歩兵銃及騎銃取扱法」で検索してPDF でダウンロードした引用図面です。 この図からも分かるように実物は、マガジンが別パーツですね。

写真06 ついでに断面図も作ってみました。さく丈止が実銃には存在しています。またさく丈も長いものが付属しています。


参考URL

ミロク製作所
 銃器製作している大手 
https://www.miroku-mfg.co.jp/
ミロク精機製作所
 本家の横浜工場が独立したものでここでフリントロックや38式モデルガンが作られていた
http://www.mirokuseiki.co.jp/

おまけ

写真23 ネットで見つけた図面です。