写真00

写真01 MGC カスタム 1912 年型1911です。アーリータイプの1911を再現しています。 右側は、こんな感じ。

シリアルナンバーがモデル・オブ1911の文字の下にあるのが特徴です。
以降のシリアルナンバーは、グリップのあたりに移動となります。

勘の良い人は気づいたと思うのですが、ミリタリーモデルなのにメダリオンのあるグリップを装着しています。 オークション購入時からこうなのでオリジナルなのか前オーナーによるものなのかよく分かりません。 また、マガジンも変えられているかもしれません。


A1じゃない 1911

写真02 我々は不本意ながら世間からジジイと呼ばれる年代になってしまいましたが、生まれた時からジジイではなく、そう、ヤングマンの時代もありました。 そんな我々が、ヤングマンのころのモデルガンのガバメントには、金属製プラ製どちらもA1物しか存在していなくて、A1じゃない1911は、この世にはありませんでした。六研高級モデルにはあったかもしれませんが、縁はなかったです。そんな時代を過ごしていた私なので、今でもガバメントの1911型を見かけると「これは珍しい」と、ついつい手を出してしまうのであります。

その中においても、今回ご紹介の「 後端にサークル・ランパント刻印、ラウンド型リアサイト 」、とくれば1911最初期型の特徴であり、旧ヤングマンの私にとって見逃すことは出来ません。これは熾烈な戦いになると興奮しオークションに臨んだのですが、たいした競り合いにもならずに落札できました。うーん、気合い入れていましたのでスカタン喰らって、喜んでいいのかどうなのか複雑な心境でした。


登 場

写真03 写真04

登場したのは、以前ボマーリブのカスタムを取り上げた、MGC上野店最後のセールだと思われます。 写真は 2006年4月号のGun 誌 の広告と記事からです。ホーグのグリップ付きで20丁、20丁、12丁限定となっています。 やけに少ないですね。その中でもこの度入手したものは、部分的パーツにメッキがかけられているもので、どのような シチュエーションで作られたものなのかはよくわからないものです。ただ言えるのは、メッキは亜鉛製も鉄製も同じように シッカリとかけられていてメーカー純正だと思われます。また、ピンやエキストなど小部品にもメッキがかけられていて 奇麗に仕上がっています。メーカーカスタムの中のさらにカスタム品だと言えます。


外観特徴

写真05 写真06

フロント・サイト 、リア・サイトは真鍮削り出しです。リアサイトの溝はユーノッチです。 サークルランパントが輝いています。下の実銃の写真と比較してみてください。

写真10 写真11
写真07 写真08 写真09

ほかにもいつもの1911モデルの特徴である、グリップセフティが短いとかスライドストップ形状が少し違うとかセフティの切削跡などがあげられます。


お、惜しいっ

写真12

写真13 素晴らしく良く出来ているMGC カスタム1912 ですが、惜しいことに検査官マークが間違っています。 1914年までは、上に掲載の実物写真のごとくウォルター.G.ペンフィールド少佐が刻印を押していたのですが、 ラウンドリアサイトもなくなった1914年からのギルバート.H.スチュワート少佐のGHS 刻印をMGC では採用しています。

また、細かいところを言うと、初めのころは写真のようにメインハウジングを止めるピンは両方凸で、凹の面は無かったのです。 どうでもいいことなのですが、分かってしまうと惜しいなぁと感じてしまいます。

実銃のURL はこちら↓シリアル 1,000番台
https://www.oldcolt.com/collections/m1911-us-military-pistols/products/colt-m1911-45acp-sn-1176-mfg-1912


箱など

「引用元の明示」によって無償で引用頂けます。とのページ説明により、写真を借用させていただきました。

万丈一致 さんの下記ページより引用
https://auto1911.com/2019/04/14/mgc-gm5-model-of-1911-us-navy/


写真16 写真17

右のチラシにあるようにアーミー、ネービー、コマーシャルの3種類が発売された模様です。


メ カ

写真15 一番上にあるエキストラクタ・スプリングは、分解したら伸びてしまいましたので組立には使用しませんでした。 排莢テストしましたが、スプリングが無くても別段異常なく排莢できました。

ブローニング・パテント

写真18

スライドには4つのパテント日付が記載されています。せっかくなので、どのようなパテントか調べてみました。 参考図をクリックすると図面が1枚だけ開きます。

日 付パテント番号内容参考図備考
APR.20, 1897us580924 参考図 パラレルルーラー
SEPT.9, 1902us708794 参考図 パラレルルーラー
DEC.19, 1905us808003 参考図 リンクは一つに
FEB.14, 1911us984519 参考図 バレルブッシングなど
1914年以降のスライドに↓追加
AUG.19, 1913us1070582 参考図 サムセフティなど

詳しく見たい方は、上記のパテント番号を下記Google Patents ページにて検索してみてください。

https://patents.google.com/


1911バリエーション

写真19 MGC タイプ1912 を入手できましたので、自分の1911シリーズは、コンプリートとしておきましょう。

写真は左上からグリップ替えた MGC タイプ1912、マッコイ1911、左3番目は馬のマークが真ん中に来る1918年以降の1911をMGC レミントンにミリタリスライドで、でっち上げたもの。

右の上2つは、コルト社以外の生産もので、上がスプリングフィールド(エラン製、グリップ別)、真ん中がレミントンUMC (エラン)、一番下はMGC トランジションで外観はA1なのですが、厳密には1924年製の1911モデルとも言えます。 一次大戦も終わり1924年にコルトの1911製造はいったん終了し、13年後の1937年からA1の製造が再び始まります。 なので人によってトランジション・モデルを1911のカテゴリーに入れる人と、ハードウエア的にA1に入れる人に分かれるようです。

私はこちらの素晴らしいページのようにトランジションは1911に入れたいと思います。
https://www.oldcolt.com/


1911うんちく

上記以外にも1911にはマイナーバージョンが存在します。いずれも戦争末期に軍と契約したもののその後すぐに戦争が終わっちゃったので、契約解除となり大量生産に至らなかった物たちです。

A.J.SAVEGE 製造?

写真20 右写真は A.J.サベージ社の物として出ていますが、いろいろ調べてみると、スプリングフィールド・アーモリーが修理用に製作したスライドというのが正解っぽいですね。

ノース・アメリカン
アームズ

写真21 カナダのノース・アメリカン・アームズが終戦間際に受注し、ウインチェスターの応援で100丁ばかり製作したところで終戦契約解除 となったものです。 かなりのレアなものです。ノース・アメリカン・アームズというとハドソンが 22口径のデリンジャー をモデルガン化 していたので我々にもなじみがあります。

ウインチェスター

写真23 こちらも戦争末期に契約はしたもののすぐに解除され製造納品までは、至らなかったようでプロトタイプのみが存在するようです。

お色直し

写真26 ミリタリーグリップに付け替えて、マガジンはランヤードループのあるエラン製と交換しお色直しをしました。 エランのマガジンのキャッチ部分の切り欠きは、MGC より少し下のほうのあるようだったのでヤスリで上部を少し削りました。 このへんは各モデルによる個体差があると思われます。

参考書籍

写真25

おわりに

写真27 ガバメントは長い間正式拳銃であったため生産数が莫大でバリエーションもたくさんあります。 ましてコマーシャル部門まで入れると相当な数になるでしょう。 とてもすべてのバリエーションを揃えるなんてのは、無理っぽいのですが、このたびは タイプ1912 という珍しいモデルを入手できましたので、1911コンプを目指してみました。

ガバメントは軍用拳銃なのに、バリエーションの王様ですね。とてもコレクションにゴールは見えません。


GM 12 分解図

写真14