新橋鉄砲さんから発売

写真07

オークションにてエラン製ということで中古購入したものですが、調べてみるとエランの部品供給で新橋鉄砲玩具店さんが 刻印を入れて販売したもののようです。元の刻印を削って入れなおしていますが、うっすらと元の刻印が見える部分があり 少し残念なところです。仕上げは非常にきれいですが、セフティ周りの作動がさっぱりでした。


追記 刻印について

※ 友人から面白い話を聞きました。
刻印を消して打ち直したプラスチック・モデルガンは、経年と共にプラスチックが 痩せてきて古い刻印が浮かび上がってくる、ということでした。
その現象でカスタム手直しに出されたモデルも実際に目にしました。へぇー、そんなことがあるのですね。新橋さんのモデルは出来てから20年たっていますので、うっすらと浮かんできたものでしょう。完成時点では、旧刻印は全く見えなかったのだと思われます。
新橋様失礼なこと言いましてすみませんでした。

ブリティッシュ
コントラクト

写真21

そもそもブリティッシュ・コントラクトとは、1912年から1919年にかけてイギリスの要請によるコルト社の1911ガバメント輸出 モデルの事です。17,500 丁送られたようで、初めは45ACP 口径、のちに現地に合わせて455ウエブリー・オートの口径で作られました。 最初はコマーシャル版でしたがのちに軍用(おもに空軍)とされました。

写真は凄く程度の良い初期の455口径軍用品です。検査記号はエンフィールドのEマークです。

上写真のページはこちら
https://www.legacy-collectibles.com/beautiful,%20rare%20colt%20government%20model%201911%20-%20british%20contract.html

参 考

第二次大戦での米国レンドリース法による1911A1 のイギリスへの輸出は、すべて45ACP 口径ですので455口径は、一次大戦の時のみです。
それでは新橋さんの素晴らしい刻印から見てみましょう。

本体刻印

写真00

燦然と輝く455の文字。そう、イギリスが第一次大戦時にアメリカに注文した455ウエブリー口径のガバメントです。 白抜き文字は、おそらく前オーナーによって入れられているのではないかと思います。 シリアルナンバーの前のW 記号はイギリス向けの証です。後述しますがバレルはホビーフィックスの物です。


クラウン記号について

写真01

写真09

おそらくこちらの書籍を参考にしているのではないかと思われます。 この刻印をもつ実銃がないかとかなりインターネットを探しましたが、あるのはクラウン/G2/Aばかりです。G2の記号は G.W.R ステッドマンさんという検査官の検査済み記号で、その下のAはアメリカを表し、コルト社でイギリスの検査官によって 検査されたことのしるしです。

もうひとつのE記号のクラウンマークはイギリスのエンフィールドで検査されたしるしですので、アメリカとイギリスで 2回も検査されるというのもおかしな話で、このクラウン記号が二つあるというのはなんだか疑わしい気がします。

−−*−−*−−*−−*−−*−−*−−

小の字のようなマークは、イギリス官給品を表すものでBROAD ARROW で検索するといろいろな物に付けられていた事が分かります。

R.A.F.記号について

写真10

フランス語の書籍にあるように最初はRFC刻印=ロイヤル・フライング・コープ=イギリス陸軍航空隊の刻印でしたが 1918年に海軍航空隊と合併したためRAF=ロイヤル・エア・フォース=イギリス空軍の刻印となりました。 書籍にあるように、初めは45ACP モデルが輸出され、のちに455口径となっています。いずれも最初は、コマーシャル版(商用)でした。

写真11 こちらはおそらくコマーシャル版ではないかと思われる貴重な写真です。 Westley Richards & Co. London. W. とスライドに刻印されています。現在でも存在しているWestley Richards 社です。

ちなみにこの銃はオークションで150万くらいで売れたようですね、スゲー。

上写真のページはこちら
https://www.bonhams.com/auctions/20806/lot/42/

旗交差マークについて

写真02

旗が交差したマークは、イギリス軍用を表しています。したがってコマーシャル版には存在しません。 また、ガバメントは、登場以来このようにスライド後方に馬のマークがありましたが、書籍によると1918年からは スライドの真ん中に彫られるようになっています。

写真12 エランさんから2007年にブリティシュ・モデルが発売されていますが、それは馬のマークが真ん中のスライドでした。

またそのカートの裏には刻印があったようです。新橋さんのカートには刻印がありません。


登 場

写真03

新橋さんの登場は、Gun 誌 2003年5月号に紹介記事が載っています。


写真05

また同号には、新橋さんの広告も載っていました。

私は、このころGun 趣味を引退していて、新橋さんのことは知らなかったのですが、
マニアには有名なカスタム屋さんだったようです。
ゆも庵さんのブログで見ると2007年ごろに店舗を閉鎖して通販のみになったようです。


マガジン

写真06

実銃の455のマガジンには、シリアルナンバーが入ったものも存在していました。新橋さんはそれをモデルアップしています 。本体と同じシリアルが入っています。

写真08

右は、インターネットから取ってきました実銃写真です。新橋銃砲店のマガジンは、よくコピーされていると思います。

上写真のページはこちら
https://www.coltforum.com/threads/wwi-british-r-a-f-455-weebly-m1911-pics.348485/

マガジンその2

写真04

また、新橋さんのモデルには、もう一つマガジンが付属していまして、そちらは珍しいサークルスイベル付きです。 実銃の写真を探しましたが見つけきりませんでした。珍しいものだと思います。新橋さんのマガジンの裏には455とうっすら 刻印が入っています。


カート

写真13

そのむかしイギリスから455オートのダミーカートを買って持っていたのですが、金欠のためにすでに売ってしまって、今ごろ 後悔しています。もったいなかったなぁ・・・。

実物の455オートの弾は、ほとんど45ACP と変わらない大きさなのですが、新橋さんの物はすこし小さく出来ています。

写真14 455オート弾は、3種類くらいあってこれが一番スタンダードなものだと思いますが、いずれもセミリムドで45ACPのように リムレス弾ではありません。それでマガジンは、45ACP用よりも少し大きく作られていたようです。

上写真のページはこちら
https://municion.org/producto/455-webley-scott-automatic-mk-i-m-1913-type-5/

455マガジンのお話

写真15

マガジンが少し大きいのならば、当然フレームの切削も少し大きなはずで、いろいろ探し回ったら面白い写真を見つけました。 右端は、455ガバメントに45ACP 用のマガジンが差し込まれています。あきらかにフレームとのすき間が合致していませんね。 面白い写真でした。

上右端写真のページはこちら
https://www.invaluable.com/auction-lot/british-contract-colt-1911-with-raf-marking-349a-c-2bb49d3ad7

Eley のうんちく

写真25

455Eley とコルトは言っていますが、単にウエブリーと言いたくないだけで、弾としては455ウェブリー・オート弾です。 そのむかしコルトSAA をイギリスで455口径で売り出すときにウェブリーと言いたくなかった、もしくは特許の関係で言えなかったために 弾薬メーカーのEley 社さんの名を取って455Eley 口径と呼んでいました。その名残だと思います。弾はあくまで455ウェブリーです。

写真はいまでも弾薬製造しているEley 社の22ロングライフルの撃ちガラです。

−−*−−*−−*−−*−−*−−*−−

写真26

ちなみに455オート弾は、今でも作って売っているところがあります。

このバッファローさんは、レアな弾ばかり売っています。7.92 クルツ弾なんかもありますね。

−−*−−*−−*−−*−−*−−*−−

上右端写真のページはこちら
https://www.buffaloarms.com/455-webley-auto-ammo-amo455auto.html

バレル

写真16

中古で購入したときは、リアルマッコイの非装填バレルが付いていましたが、当然新橋オリジナルではありません。 そこでブリティシュ・ガバメントのバレルはチャンバーが白磨きだったようなので、ホビーフィックスのプラ用 バレルと交換しました。何もせずに使えました。

ご存じのようにホビーフィックスのバレルは、他社の物より数ミリ長いのですが、 このオークションで落札したバレルは、すでに削られていました。マニアの考えることは、みんな同じなんだと 思わずニヤリとしました。


メ カ

写真17

と、いうことでバレルはホビーフィックスの物です。シア、ディスコネ、エキストラクタなどはスチールです。 セフティ系がさっぱりでしたので加工しています。


作動調整

写真18

プランジャーチューブが未接着だったので接着しました。サムセフティが効かなかったのでシアに0.5mmのアルミ板を貼って 効くようにしました。グリップセフティは下部を削りましたが、それでも効かなかったので仕方なくトリガーバーに アルミ板を貼ってかさ上げして効くようにしました。

写真19 ちなみにマルシンのプラ・ガバメントのトリガーは、初めからかさ上げしてあります。これだけ高ければ グリップセフティも効かせやすいですね。さすがマルシン?


チャンバー刻印の謎

写真20

ネットをうろついて写真を探していると、チャンバーにやたらたくさんの刻印が打たれているガバを見かけます。 45 900 や455 923 など口径とケース長?や弾頭重量まで刻印されています。 これらは、おそらく軍から放出された際に打たれたのではないかと思うのですが、いまいち勉強不足です。 この参考書籍には、1955年の記載があるのでそう思いました。


参考ビデオ

写真22

上写真のページはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=5ZkBgj9nMWQ

参考書籍

本Lesコルト写真 Les Pistolets Colt 送料込み60ユーロで買えます。
フランス語ですが中身は最高です。超おすすめ。

http://www.hlebooks.com/coltpag/alivrecol.HTM

本US写真 U. S PISTOLS & REVOLVERS 1909-1945
アマゾンで30ドルくらい?
イラストのみですが中身は最高です。おすすめ。
本1911写真 The Colt M1911 .45 Automatic Pistol
アマゾンで30ドルくらい?
この本のシリーズは充実しています。おすすめ。

本colt45写真 Collector's Guide to Colt .45 Service Pistols
アマゾンで5万円くらい
モノクロ写真ですが中身は最高です。
この人の本は3冊あって、これが小で一番安い。

大2冊はバイブルと言われていますが、
高すぎて買えません。10万円超え


おまけ

写真23

弾薬箱のPDF を下記に上げています。PDF ですので印刷して使用ください。箱は大きめですので こだわる方は作り変えてください。

上写真のPDFはこちら
455アンモ・ボックス PDF

おわりに

イラスト

中古とはいえ新橋鉄砲玩具店さんの熱い思いのこもった力作でした。感動いたしました。

2007年にエランさんは、1911ブリティッシュ・コントラクトを発売しましたが、2023年1月の最近のエランさんのブログを見ますと再びブリティッシュ・コントラクト・モデルの販売に向けて新たに動いているようです。どのようなモデルになるのか期待大です、楽しみです。