ブローニング・1910

亜鉛ダイキャスト・モデルガン
MGC,CMC,マルシン,マルゴー
写真0
むかしのベストセラー、ブローニング380各社製です。
真ん中の金粉塗装がMGC 、左二つがCMC 、右がマルゴー、マルシンです。
マルシンとマルゴーは、同じところの製造だと思います。また、はっきりマルゴーの物か確信は持てません。便宜上このページではマルゴーと呼びます。


写真01
この3つが異母兄弟のようなもの。左のMGC のコピー品が右のマルゴー、マルシンです。
MGC のものは、台の上に乗せて写真を撮ったため、すこし大きく見えますが ほぼ同サイズです。 機構は、MGC の独自タイプを右の2個は禁断の丸ごとコピーしています。また、右の2個は、さらに省略が進んでいてグリップセフティがダミーです。


写真02
右サイドを見れば、銃身固定ピンの抜き穴がスライド上に見えます。
丸ごとコピーの証です。当時は、MGC を痛めつけることはモデルガン業界では正義だったようです。


写真03
うしろ姿もそっくり。


写真04
実物に限りなく忠実な路線をとったCMC のうしろ姿は、実物形状を再現しています。

CMC のモデル化は、MGC 製品よりも相当に後からだったので 特徴を出すため実物メカを最大限に再現しています。
そのため、MGC 及びコピー軍団の値段よりもかなり高くて、マニア向けでした。


写真05
右が、MGC 式ピン止め方式。左がCMC の実銃を再現した90度回転ロック式。


写真06
トリガー機構もCMC は、実銃を再現しています。右のMGC 系はトリガーピンさえも 省略されていて製造費削減に貢献した設計となっています。
そのためトリガーバーはスライドに押さえられる形状に作製されています。


写真07
CMC のバレルは、実銃の分解図を見ると下駄がひとつ足りませんね。
まぁ、細かなことは抜きにしても再現度は素晴らしい物があります。
ずいぶん後から発売されたマルシンのプラスチックモデルガンもCMC と同じ形状です。


写真08
上がマルゴーと思われる物、下がマルシンです。セレーション形状が 金型にあらかじめ作ったパーツをはめ込んだ形なのでMGC と違うことが一目でわかります。
また、セフティの平面形状が上のモデルは「田 の字」形状ですが下はきちんと型が取られています。この両モデルは、グリップセフティがモールドでフレームと一体です。マルシンには、ちゃんと動く物もあったと聞いていますが、確認できていません。
MGC にセフティ固定化モデルは存在しないと思います。


写真9
マルシンと打刻されているのがわかります。が、他はマルゴーと、まったく同じ感じです。


写真10
右側刻印を見れば納得です。同じ金型から製造されています。

想像しますに下請け製造所から納品された同じ物がマルゴーとマルシンで 販売されたのではないでしょうか?マルシンは、自社金型の場合は、金型上で マルシンと刻印がありますので、このようにあとから打刻している物は他社製造品でしょう。


写真11
セレーションを金型に別部品ではめ込んでいるのは良いのですが、スライド平面よりも かなり深くに、はめ込んでいるためにセレーション部分のスライド肉厚が非常に薄くなり破損しやすいです。 写真上のスライドは、破損した物です。肉厚が薄いため、スッポリと切り取られたように損傷しています。


写真12
MGC 系が大衆派なのに対しこちらの2個はマニア向け高級機のCMC です。
左の物は鋳造がたいへん綺麗ですが、右の物はボロボロです。同じ値段なのにこれだけ違うと 問題ありですね。たぶん左の物の方が刻印(金型)がしっかりしていて古いのではないかと思います。
46年規制後の製品なので黒いブローニングは存在していませんが、CMC はカタログでは 黒い写真を使っていました。PPK でもそうでした。気持ちは判りますが、業界としては倫理違反だったでしょう。 規制への強い抵抗感の表れだったのかもしれません(推測です)。


写真13
MGC 系がオープンブリーチシステムでサブマシンガンのような構造に対し CMC は、ちゃんとストライカー式です。カートのサイドを打つようになっています。


写真14
トップリングもちゃんと実銃のようにスライド側に凸があります。
MGC 系はスチールプレート挿入で同じ仕組みを再現しています。
CMC は、バラしにくいです。


写真15
大衆機と高級機。同じ時代に存在し、多くの子供たちを楽しませたことでしょう。
各社が各様に製作しユーザーが選択できた良い時代でした。

実銃のブローニング1910はヨーロッパで大ヒットとなり、アメリカには 380ACP 口径の物が輸出されたようで、ブローニング380と呼ばれました。 おかげでモデルガンでの呼び方はアメリカ式にブローニング380が一般的でした。

なお、写真中のグリップはオリジナルでは、ない物が多いです。マルシンのABS モデルガン の物などを流用しています。グリップをみると微妙にサイズの合わない物が存在するので 別のフレームの金型があったことも想像されます。ひょっとしたらそれが本当のマルゴー製品なのかも知れません。



追 記


その後、マルゴーのスライドを入手してはっきりと判ったのですが、やはり上記の記事中のマルゴーと書いている物は マルゴー製品ではありません。マルゴーのスライドは、MGC と同じ大きさで別個に存在します。
区別する方法は、下記のイラストのようにセレーションが違います。
  1. MGC は、ちゃんとしたセレーション
  2. マルゴーは、セレーション頂に型の横線あり
  3. マルシン系は、セレーション上部がブツ切り
下記刻印のMGC は、少し誤記があるかもしれません(見難かった)。
また、大きさは判りやすいように大きく書いています。

MGC 製品とそのコピーが3種類、同じ構造で4種類が存在したようです。
(コモダ発売の製品は、見たことがないので判りません)


スライド図

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