8mm南部弾
(8mm Nambu )

珍しいオリジナルの南部弾。
入手したがすぐに金欠のため売り飛ばした。これでは、コレクションとはいえませんね。

弾頭には、かなりきつくポンチあとが付いている。
昔の弾(1900年〜1910年代)は、皆こんな風にかしめてあった。燃焼火薬の威力を100%引き出すため 弾頭がケースから抜けるのが、少しでも遅くなるように考えての事だった。
しかし実際にはカシメなくても 威力に差がないことがわかり、ただ弾頭を突っ込む形式に代わって行った(軍用にはクリッピングされた物もある)。

日本では、かたくなに最初の形式を守り通し、二次大戦終了まで南部弾にはカシメ跡があった。 一度決められた規格、前例は守り通すという国民性が現れているかもしれない。

プライマーはベルダン型。ヨーロッパに多い。日本軍の、武器のお手本はヨーロッパなので 全てベルダン型である。もっとも、昔はリロードして再びケースを使うなんて発想はなかったと思う。


南部弾の弾頭にはニッケル被覆と銅被覆のものが存在する。
一般にはニッケル弾の紹介が多いが、銅被覆も写真のようにあった。どちらが多く生産されたのかは知らない。

裏から弾頭を見ると被覆ジャケットの長さが違うのが判る。製造場所により微妙に違ったのであろう。

ちなみに弾頭のおしりの形状は、飛行性能に大いに関わる大切な部分だ。


手持ちの南部系の弾を並べてみた。
左から7mm南部オリジナル、8mm南部オリジナル2発。真ん中4発はレプリカ品。

右から9mmルガー、30モーゼル、30ルガー。このうち30ルガーが年代からも形状からも 参考にされたのではないかと思う。


7mm南部 8mm南部 8mm南部 8mm南部 8mm南部 8mm南部 かざり弾
実物 実物 実物 米国
ミッドウェイ社
オーストラリア
BB 社
米国
ハンティングトン社
38スーパー改

今では売っていないらしいが、ミッドウェイ社の弾は重要な意味がある。
南部弾のボディは、かなりきつくテーパーが、かかっているため普通の弾の改造ではうまく銃が回転しない。
友人から何とかならないかと相談を受けたミッドウェイ社の創設者である Potterfield 氏は、悪戦苦闘の末 完璧なレプリカ弾を作り上げた。その過程において弾薬製造に道を見出し現在のミッドウェイ社を 作り上げた。8mm南部弾は会社創設の大きなきっかけとなった。以下のページに書いてある。

http://www.midwayusa.com/static.exe/getstaticpage?page=about_midwayusa.htm


各弾の裏側。ミッドウェイ社のものにはダミーのプライマーがセットされている。

左からミッドウェイ社、オーストラリアの Bertram Bullet Co.、アメリカ・ハンティングトン社。
こんな珍しい銃の弾を製造するところがあるなんて、まったくマニアの世界はどこにでもある物だと感心する。

オーストラリアのBB 社のものに口のようなマークがあるが、私は草原を飛び跳ねるカンガルーだと思う。両足そろえて前傾姿勢で飛びはねる。


ハドソン社から出ているモデルガン用のダミーカート。発火用のカートと同じ長さに作られているために ずいぶん小さくなっている。ほぼ7mm南部弾のサイズだ。右端がオリジナル南部弾。


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