46年規制への抵抗

写真01 昭和46年(1971年)、相次ぐ犯罪行為にモデルガンが使用されたことから、法律が改正され金属モデルガンは色を 白か黄色にし、かつ銃身を閉鎖しなければならなくなりました。これに大いに反発したMGC の小林さんは金属がだめならば プラスチックなら黒くて銃口が抜けてもOKだろうと、新たなプラスチック製モデルガンを世に出しました。

子供の時の記憶では、「黒く、そして重い 」がキャッチコピーだと思っていましたが、こうやって調べてみると 黒くて・・と”て”が入っているんですね。記憶はあいまいなものでした。


黒い・・・、が軽い

写真01 こちらが、上記コピーの元になった軽いプラスチック初登場のモデルガンです。 今見るとそんなに違和感はありませんが、高校生だった当時の私は、これを通販で購入して握った時に衝撃が走りました。 「これはオモチャだ」、そう、モデルガンとは違う異次元の物を感じたのでした。

MGC福岡店店長にも昔話を聞いたところ、やはり同じ違和感を感じたそうで、「こんなの売れない・・」「この業界も終わりだ」と真剣に 就職先を探そうと思ったそうです。

しかし、金属モデルを持っていなくて、初めてP210を触った人などは、違和感なく、なじめたようで、このモデルは MGC が無くなるまで現役で売られました。また、後年 CAWから再販モデルも発売されました。 意外なもんです。やはり小林さんは偉大でした。


写真02 箱説では300gとなっていますが、手元の物ではマガジン無しでは326gでした。

ハイウェイパトロールマン

写真03 プラスチックモデル第2弾となったハイウエイパトロールマンですが、こうやって測ると案外軽いのですね。 カートが41口径とでっかいのでそこで重さを稼いでいるのでしょう。これも実銃の357口径を無視し 重い方へ変更したことはヒットの要因となり、人気を博したようで今でもオークションで結構な値段が付くことがあります。

GM2 登場

写真04 2年後にいよいよ大ブームを起こすことになるGM2が登場です。まだ金属モデルガンが販売されていた時代でしたが ブローバックやウエスタンアームズの数々のカスタムなどバラエティ溢れる商品群により一時代を築きました。

写真はスタンダードです。当時はまだヘビーウエイト材が開発されていなかったので、プラスチック・モデルガンは この程度の重さでした。


GM5 登場

写真05 GM2登場から8年ほどたち、短いグリップにも終わりが来ました。他社(スズキ、マルイ)からショートリコイルガバが発売され MGC からもリアルサイズでGM5が登場しました。今でいうスモールカートです。GM5は、小林さんの設計ではないそうです (ネットでの情報)。
写真06 写真07 写真のように当初は、サイド発火でしたがウエスタンアームズのプレッシャーにより翌年センターファイアになりました。
写真08 この個体は、トリガーの戻りが悪いですね、調整の必要アリです。

GM5センターファイア

写真09 センターファイアの方が、少し軽くなっていますね。
写真10

GM12 ヘビーウェイト
登 場

写真11 1993年もしくは前年の末ぐらいにリアルサイズカートを使用するGM 12 が登場しMGC プラスチック・ガバメントは、ここに 極まりました。
写真12 写真13

写真14 写真15


スーパーリアル
ヘビーウエイト

写真16 発売年度は分かりませんが、スーパーリアル・ヘビーウエイトという鉄粉を樹脂に混ぜた素材で作られたモデルガンで、 磁石が付くことで有名です。もろくて危険はないのですが、あまりに刺激が強いからか自主規制で販売されなくなったそうです。 確かに磁石はくっつきますが、重さはそれほどでもありません。
写真17 写真18

写真19 写真20


真打ち 登場
HFメガウエイト

写真21 写真22

写真23 写真24

1Kgを超える重さを強烈に打ち出した広告で登場したホビーフィックスのメガウエイト・モデルです。 金属モデルガンよりも重たくって、さすがに持った時に何か違和感を感じますね。重すぎる感覚です。 実銃の重さなのでしょうが、こちらの脳はプラスチック・モデルガンだと分かっているので 持った時にあまりに重くてびっくりします。


第2弾は軽くなった
メガウエイト

写真25 写真26

写真27 写真28

第2弾のナショナルマッチは、少し軽くなっちゃいました。


メガウエイト考察

写真29 どこがどう変わって軽くなったのか、調べてみました。写真のように全部が少しずつ軽くなっていますね。 と、いうことは以前の素材とは、別の物で製作されているということですね。おそらくは、価格面か入手難か、強度の問題 で以前よりも比重の軽い金属粉が使用されているのでしょう。

ちなみにネットオークションで見かけるナショナルマッチは、リアサイトとハンマーが亜鉛崩壊を起こしている個体が 多いです。写真の個体もそうでしたのでハンマーはCAW 製を付けています。無加工で装着できます。


リアルマッコイズ
登 場

写真30 写真31

写真32 写真33

メガウエイトと同じころにリアルマッコイズという服飾メーカーさんからモデルガンが登場しました。 六研の名前を前面に出し、リーズナブルな価格ながら高品質を謳っていましたが、製造に時間がかかったり 刻印が浅かったりで評判はそれほどでもなかったようです。メーカーさんものちのモデルで反省文を載せています。


重い、リアルマッコイズ
第3弾

写真34 写真35

写真36 写真37

最初のマッコイさんは、軽かったのですが、コルトと組んだ第2弾、コルト純正を外れた装填式第3弾は重い素材を使用して 以前にも増してこだわった製品が出てきました。価格も跳ね上がっています。

この写真の個体は。シリアルが16で始まる(海外向け品)という、やや??なアウトレットなマッコイです。


エラン 登場

写真38 リアルマッコイさんが会社更生法で退場したあとにエランさんが登場しました。高品質、高価格なモデルガンを提供しています。 現在では、発火屋さんとなっていますがここに紹介のレミントンUMC ガバメントは、昔の非発火モデルです。刻印がきれいに白出しされています。最初からだと思います。エランさんのレミントン刻印モデルは、トリガーガード付け根にイーグルヘッドのある物も 製作していたようです。
写真41 写真42

左の写真には、アンダーライセンス・オブ・コルト・マニュファクチャーとコルト社公認と刻印があります。イーグルヘッドマークの上のECCはインスペクター・マークでエドワード・E・チャップマンさんだそうです。


写真43 写真44

写真45 写真46

グリップはホーグ社製、インナーシャーシーは無くスマートです。シアとディスコネはスチールです。


写真52 写真53

バレルは、すごく軽いので何かおもりを入れると良いかもしれません。


凝ったカート

写真39 写真40

アンティークなBOX は、リアルマッコイズさんと同じものです。カートはくびれの入ったオールドタイプです。
カートの刻印は Frankford Arsenal フランクフォード・アーセナル(ペンシルベニア州)南北戦争のころから1977年まで存在した元米陸軍の 弾薬工場です。数字の意味は、おそらく1917年10月製造だと思います。↓参考ページ(FA 刻印は、2ページ目に登場します)。

https://municion.org/producto/45-acp-m-1911/
https://forum.cartridgecollectors.org/t/45-acp-cannelure-question/25961

重さ一覧表

このページに登場したGun たちを一覧にしました。チープな秤なのでプラス・マイナス1gは誤差があります。 また、全部が中古品の入手のためグリップが変わっていることもありますので重さはあくまで参考値です。 計測は、カート無し、マガジン有りの状態です。

年代名称重さ
1972年SIG P210396g
1972年ハイウエイパトロールマン373g
1974年GM2429g
1982年GM5サイド発火591g
1983年GM5センター発火537g
1993年GM12(リアルサイズカート)740g
199?スーパーリアル・ヘビーウエイト700g
1997年HFメガウエイト1074g
199?HFメガウエイト・ナショナルマッチ912g
1997年リアルマッコイズ・スプリングフィールド524g
2000年リアルマッコイズ・装填モデル937g
2002年エラン・レミントンUMC 882g


各種スライド刻印

写真48 写真47 オールド刻印、スプリングフィールド刻印。

写真49 写真50 馬マーク刻印、右写真のナショナルマッチはコマーシャル・ミリタリー刻印とほぼ同じですね。 その刻印の銃は、1943年にガバメントの生産が間に合わないのでコマーシャル用製品を軍用に転用したものです。


参考書籍

写真51 米軍採用拳銃の刻印やインスペクターマーク、マガジン仕様など詳しく説明されています。 コルト、SWのリボルバーは少ししか載っていません。ほとんどガバです。 イギリス向けやアルゼンチンやコングスベルクは載っていますが、メガウエイト刻印のナショナルマッチは 残念ながら載っていません。普通のナショナルマッチ刻印は載っています。