コルトSAA のうんちく

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モデルガン趣味が復活して、当然のようにコルトSAA に興味が出てきました。 昔は、シングルアクションなんて眼中になかったのですが、これが知り始めるとかなり面白いんです。 特に動作のチューンなんか、やり出したらやめられませんね。SAA に始まりSAA に終わる というのもうなづける年齢になっちゃいました。

SAA を知ろうとしたところ、解説したページに行き当たらなかったので自分で作ることにしました。

基本=1st、2nd

1873年から1940年まで2次大戦による中断まで70年も造られてきた製品なのでファーストジェネレーションには 、さまざまにバリエーションがあります。戦後の銃器不景気によりコルト社はSAA 製造をやめていましたが、 その間に起こった「西部劇ブーム」に乗り、1953年にスターム・ルガー社からSAA そっくりのブラックホークが発売され、大人気となります。 あわてたコルトは、再発売を始めます。1956年です。この第2期生産を2nd ジェネレーションと呼びます。 1st と細かなところが、いろいろと違います。

その後、1975年にふたたび生産をやめて、1976年に新規にまた復活したものが3rd ジェネレーションです。1981年にサードも生産終了し、 1992年より4th の生産が始まりました。しかし、米国のオークションなどを見ますと 1st、2nd までの価値しか認められていないようで、3rd 、4th は問題外の扱われかたのようです。とくに4th は出来が悪いようで 3rd までの記述しか載っていない記事もあります。

1st ジェネレーション・民間用

年代  
モデルガンで形状を再現してみました。小写真をクリックすると別ウインドウに大きな写真を開きます。

1873 CMC・クリックで大写真 クリックで大イラスト 45口径ブラックパウダーで登場しました。 シリンダ・ベベルカットは、ごく小さい物でした。

トリガー・フレームは、長円の四角形で一番なじみのある形です。

エジェクター先端はフルムーン型でした。
フレームには、パテント日付の2行刻印がありました。

1877 マルシン・バットマスターソン・クリックで大写真 cmc 2型・クリックで大写真 ランパント・1st・クリックで大写真 44-40口径が追加され、ウインチェスターライフルと同じ弾が使えるようになり、SAA は広く普及しました。

ベベルカットが大きくなります。
バレルは、シックスシューター刻印でした。

フレームの刻印は、3行刻印になります。

1881 cmc・クリックで大写真 エジェクター・ヘッドがハーフムーン型になる
1882 マルシン・クリックで大写真 エジェクター無しモデル・シェリフズが発売されました。
あくまで、エジェクタ無しモデルで銃身長も決まっていませんでした。
正式名は、シェリフズ(4 3/4インチ銃身)やストアキーパーでした。

セカンドジェネレーションで一律にシェリフズと呼ばれるようになります。

1888 ハドソン・クリックで大写真 スタンダード・フレーム・ターゲット(フラットトップ)が発売されました。
のちのビズリーのようなグリップフレームではなく 普通のグリップです。

フレームトップがフラットトップにされ、フロント、リアともにターゲットサイトが付けられています。

写真は偽レーサーTさんご提供のハドソンです。
1890 CMC 68型・クリックで大写真 円に馬マークの刻印、2行刻印になります。
1894 Hudson・クリックで大写真 イギリス向けにターゲットモデルが発売されました。
ロンドン・ビズリー町の射撃大会用のためのモデルでビズリー・モデル・ターゲットと呼ばれました。 ビズリー町にはナショナル・シューティング・センターといって米国のNRA のような組織があるようなので、 そこでの大会だったのではないかと思います。
WEBは http://www.nsc-bisley.co.uk/

7.5インチ銃身にフラットトップ・フレームにターゲットサイトが付き、グリップフレームはターゲット用です。 口径は455 ウェブリーで455 ELEY と刻印があります。のちに450ELEY、44ラシアン、38、32口径も作られました。

写真は偽レーサーTさんご提供のハドソンです。
1896 cmc・クリックで大写真 cmc68型・クリックで大写真 トリガーガードは、楕円形になります。

ベースピン止めがワンタッチで外れるように横式に変更されました。
無煙火薬用にフレーム強化の意味もあったようです。

1900 クリックで大写真 cmc・クリックで大写真 この年からSAA は、正式にスモークレスパウダー用になりました。フレームには、段差が付くモデルも見受けられるようになります。
のちには、 すべてここに段差があるフレームになります。

ベースピン止めが横になったからか、 このころからフレーム下方がスマートになったようです。半円形が小さくなります。

1903 Hudson・クリックで大写真 1900年代になってビズリーモデルは、通常のフロント、リアサイトにターゲットグリップ装備の短銃身モデルも発売されました。それらはスタンダード・ビズリー・モデルと呼ばれて、フラットトップ・ビズリーとは区別されています。
1905 ランパント・クリックで大写真 ファイアリングピンが、単純円錐型から切削されたカーブ式円錐型になり、ピン式に近い形になりました。 弾薬が強力になり、プライマー材質が固いものに変わったのかもしれません。

この形は、戦後再生産されたセカンドジェネレーションでも 継続しました。

1913 CMC 3型・クリックで大写真 トリガーガードは、長円形に戻りました。
シリンダのベベルカットが、小さくなりました。
フレーム刻印の馬の周囲の円が無くなりました。

1931 caw2nd、cmc68・クリックで大写真 リアサイトがそれまでのVノッチからUノッチになりました。

CMC の 3型は、このころをモデルアップしているのではないかと思います。


1st ジェネレーション・軍用

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1873年に登場したSAA は、1875年に陸軍に45口径で採用されます。1892年にコルト38口径DA に変えられるまで正式拳銃でした。 その間、 7.5 インチのキャバルリー・モデルのみが供給されていました。まだ無煙火薬の時代ですので、エジェクターヘッドは円形で ベースピン止めは、フレーム下からでした。フレームには、写真のCMC モデルガンようにUSの文字が打たれていました。 また、軍用であるから製品検査官の焼き印がグリップに押されていました。グリップは、すべて木製ワンピースです。

引退したはずのSAA でしたが1898年のキューバをめぐってスペインと戦った米西戦争や、それに勝ってスペインから購入したフィリピン での米比戦争、1914年からの第一次大戦にも使用されたそうです。それらの銃は、コルト社や政府によりオーバーホールされ 5.5インチ銃身に付け替えられたものが使用されました。それらの 5.5インチ銃身のものが、後年に便宜上アーティラリー(砲兵用)と呼ばれています。

米国では、民間用のものはすべてシビリアンと呼びますので、日本でモデルガンの銃身長による呼び分けは本当は間違いです。
基本的な名称は、下記のようになります。銃身長は問いません。民間か軍用か?と、口径で呼び名が変わります。
(しかし、日本では一般的ではありません)

名 称口 径所属摘 要英語
フロンティア44-40民間 フロンティア・シックス・シューターの略Frontier
ピースメーカー45民間 45口径の民間用モデルPeacemaker
キャバルリー45軍用 45口径の軍用モデル 7.5インチ銃身Cavalry Model
アーティラリー45軍用 1895年から1903年にかけて 5.5インチに組み換えられ供給された物−−−たいへん希少Artillery Model

軍用モデルは、モデルガンの中では希少なものです。

CMC・クリックで大写真 CMC から少数販売された軍用モデル(金属)です。

金属では、ほかにコクサイからも出ていました。
プラでは、ハドソン、ランパントにあります。

写真上の7.5 インチは、そのうち木製ワンピースグリップと、フルムーン・エジェクターヘッドに変えなきゃね。

CMC・クリックで大写真 CMC ではプラグリップに再現された検査済みのインスペクター・マーク。

木製グリップでは、ほかに、ハドソン、ランパントにあります。

CMC・クリックで大写真 検査官の名前でスペルが違うので何種類もあります。

このマークは、この方です。
スタンホープ・E・ブラント さんで SEB


2nd ジェネレーション

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写真左がセカンド・ジェネレーション

1939年ドイツがポーランドに侵攻して始まった戦争は、1941年日本の真珠湾攻撃によりアメリカも参戦し、第2次世界大戦となりました。 コルト社はじめ米国の、ありとあらゆる産業は武器兵器の製造に工場のすべての力をそそぎました。
コルトSAA の生産も1940年に終了し冶具なども他の物へと転用されてしまいました。

6,000万人という多くの命が失われ1945年、戦争は終わりました、が銃器業界は不景気に陥り、SAA も生産されなくなっていました。
その後1953年登場のスターム・ルガー社のブラックホークが 人気なのを見て、コルトもSAA を再生産しようとしましたが、SAA 用の機械などは何もなく一から作り直され再生産されました。この、 1956年発売の戦後生産SAA、それをセカンドジェネレーションと呼びます。

2nd の特徴をモデルガンで見てみます。

CAW・クリックで大写真 1st では、シリンダ先端の装飾切削のべベルカットが小から大まで、少しはあったのですが、2nd では全く無くなり、単なる面取りになりました。
クリックで大写真 フレーム下方がすこしスマートになった1900年ごろの再現のため半円に見える部分が小さくなっています。

2nd は、シリアルナンバーにSAが付いています。

備考:3rd 生産では、より 1st オールドタイプに近い形になります。


参考文献・サイト

クリックで大写真 A Study of the Single Action Army Revolver

1st ジェネレーションのことしか書いていませんが、情報量、写真とも満載で「まさにバイブル」です。

アマゾンの米国サイトで購入しました。

クリックで大写真 ランパント・クラシック製品に付いている詳しい解説書。

小さい黒いものが 1stのオールド・モデルの解説書で、読みにくいですが、素晴らしい内容です。

Bar W Ranch
各ジェネレーションを簡潔に解説しています。素晴らしいです(英語)。

http://www.bar-w.com/saa-generations.html

Collectors Firearms
左上の「コルト」から「SAA」に行ってみてください。「see photos 」で、 でっかい写真が多くみられます。素晴らしい(英語)。

http://www.collectorsfirearms.com/

Peko のガン・ボックス
アメリカ在住の方のページで日本語です。
フロム・マガジン からSAA アーティラリーへ行くと詳しい説明があります。
実銃のみならず、モデルガンにも素晴らしいページです。

http://www.pekosgunbox.com/index.html


感 謝

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このページを書きたいがために、高価なランパントをずっと借りっぱなしで、オーナー様すみませんでした。
おかげ様で満足できるページがかけました。有難うございました。


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