コルト・ポケット1908

名 称

Colt Auto Pocket 1903,1908

所 属アメリカ
口 径.32 ACP 8連発
.380ACP 7連発
記 事 1903年アメリカ、コルト社によって製造販売された。ブローニング設計。 同時期にベルギーでも同型銃がFN 1903として発売された(後述)。 当初口径はFN1900 用に設計されたブローニング作の32ACP、4インチ銃身付。 のち、1908年380口径も追加された。

スタイリッシュなデザインで1953年まで 70万丁ほど生産され、アメリカ初の中型自動拳銃としてコルトのヒット作となる。 ハンマーレスとも呼ばれるがハンマーは見えないだけで内蔵されている。正確には コンシールド・ハンマー型。ストレートブローバック、マニュアルセフティ、グリップセフティ、 マガジンセフティを備え、その後のブローニング作の基本形となった。

1910年から銃身周りが変わってバレルブッシングは無くなった。
1907年以降は3 3/4インチ銃身となり、より小型になった(とびら絵)。 WEB で見られる写真もほとんどがこの銃身サイズだ。生産数も格段に多い。

日本でも輸入され使用された。戦後の日活映画でもたびたび登場する。

機械的には、ほぼ完成されている。同時期のコルト・1900モデルと比べると 格段の進歩だ。ブローニングも油が乗り切った時期かもしれない。
ハンマースプリングは、板バネになっている。ディスコネクターはガバメントタイプ。
この絵は、グリップを握っていない状態。グリップセフティが効いている。
握りこむとシアーが動けるようになる。
黄色で描いたマガジンセフティは、マガジンを抜くとリコイルスプリングに押されて シアーの頭を押さえつける。トリガーバーがディスコネクタとシアを動かす方式はガバメントと同じ。

連休バージョンでこんな絵も描いてみた。 エジェクターがやけに長いのは、装弾ゲートの役目も持っているから。

エキストラクターは、ごく普通の形式。ハンマーがでかいので撃針は2分割かもしれない? 撃針が長いと曲がる=激発不良 の恐れがある。

この刻印のモデルは、1903年に4,100丁しか作られていないので大変レアなモデルといえよう。 4インチ銃身でバレルブッシングがある。スライドの曲部も大きくセレーション上にある 撃針ロックピンまで切削している。また、このモデルはセレーションが14本でミゾ彫り型であるが のちのモデルは通常の三角彫りで17本になっている。

1910年に銃身形状が変更されるまでは、こんな感じのストレート銃身。
ガバメントのようなバレルブッシングがあった。

同時期にベルギーFN 社から発売されたFN 1903。
こちらは9mmブローニング・ロングという口径でアメリカでは発売されなかった弾薬を 使用する。カートが長いせいかグリップが幅広い。銃身も5インチである。
同縮尺で描いているが、かなり大きく見える。

ベルギー、スウェーデンで軍用制式になったほかロシア、トルコ、中国などに輸出された。 スウェーデン製コピーまで入れると1940年ごろまでに15万丁生産された。
軍用は、フレーム右側に撃ち終わったら作動するスライドストップがあった。 この絵は、かなり初期のモデルで撃針ストップピンはスライド上部から入れ込んであるので セレーションにピンは無い。

各弾薬の比較図。上2つは、ヨーロッパ、アメリカでも受け入れられメジャーになり、ワルサーPP や モーゼルHSc にも使用されているが、9mmブローニングはマイナーで終わった。 いずれも威力は、9mmルガー弾などに比べ小さい。 それゆえ、この銃はストレートブローバックで行けた。


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