写真x

MGCカタログより

写真00
1971年版のMGCカタログより。
リアサイトは実銃と同じような位置ですが、下記のように一時期リアサイト位置が変わります。

また今回じっくりと見て気がついたのですが、リアサイトがオクタゴン以外は後述するバックホーン型ですね。


写真03 1973年頃の物ではないかと思われるカタログです。のちにNo.2とナンバーが付きますが、これはまだNoは付いていなくて 紙質もペラペラな薄いカタログです。この写真のようにM73は、リアサイト位置が少し前方に変更されています。 その後、smGの頃にはリアサイト位置は以前と同じ場所に戻ります。

これは想像なのですが、バックホーンサイトはプレートを紛失しやすく不評だったので普通のリアサイトに変更したころ、 バックホーンサイトの取付位置にリアサイト固定用のねじ穴を開けていたのではないでしょうか? その後、バレルの金型改修が進んでリアサイトは後ろへ下がったのではないでしょうか?


リアサイト3種

写真01 オールドタイプと前方位置と後方位置の3種類です。年代もその順になります。

バックホーン・リアサイト

写真02 MGC の古いモデルには、バックホーン(BuckHorn)と呼ばれるクラシックなサイトが乗っていました。MGC の分解図にもこれが描かれています。 下に実物写真をいくつか載せています。

写真01 写真02
写真03 写真04x
写真05 写真06

写真06 この写真は、MGC のモデルガンです。
サイトの中に入っているギザギザのプレートは、バレルに乗っかっているだけで、指で後方へずらすことによりサイトの高さが調節できるようになっています。


登 場

写真05 MGC・モデルガンズ・グラフィティで見ると1968年(昭和43年)に登場しています。 その前年にSAAが発売されていますので、当然の成り行きだったのでしょう。

国産モデルガンでは、その後CMC やマルゴーからもウインチェスター・レバーアクションが発売されますが MGC が一番乗りでした。


写真16 1969年(昭和44年)のMGC ニュースにM73 にオクタゴン・バレルとM66 販売の記事が載っています。 前年にM73 は発売されたようですが、翌年にオクタゴンとイエローボーイが追加されてラインナップがそろったようです。

チラシ

チラシ写真04

オクタゴン

写真07 オクタゴンは、バレルが8角形のモデルで、写真のように普通タイプよりもバレルが長いです。 また、バレルが丸くないのでバンドも使えないのでストックの止め方が違います。

https://www.rockislandauction.com/blogpics/2017/06-June/Winchester%201866%20Cheat%20Sheet.pdf

↑こちらのPDF を見ますと20インチ銃身でワンバンドがカービン、22インチ、バンド無しがライフル、27インチ、バンド2本がマスケットと 呼ばれていたようです。1866・マスケットは、デニックスのモデルガンにあります。

写真14 2020年7月、いまではpdf ファイルは、無くなっているようですので右にjpg を上げています。


M66 イエローボーイ

写真66 モデル66・イエローボーイは、M73 のご先祖様で姿も似ているのでMGC ではフレーム左右のサイド・プレートを無くして M66 とし、金色メッキで 真鍮ボディを表現していましたが、年月が経つと上の写真のようにメッキは剥げてシルバーモデルになってしまいました。
写真66-2 上は、ネット上にあった実物写真ですがおそらくシカゴレジメンタルの写真です。M66 の4th モデルだそうです。こうやって見るとMGC も結構きちんとできていますね。失礼しました。 先日シカゴレジメンタルに行って本物を見ましたが、ボディの厚みがかなりあって驚きました。

MGCのM66 イエローボーイは、人気がなかったのかオークションでもあまり見られずに高価に推移しますね。持っている人は、大事にしてください。


イエローボーイ後期型

写真10 写真は、匿名様から頂いたものの背景をカットしたものです。写真ありがとうございました。

オーナー様は、ウエスタンファンのようでたくさんお持ちですね。素晴らしいコレクションです。 真ん中のイエローボーイは、smG 規制後登場したオクタゴンバレルを持つもので、バレルは樹脂製になります。 いつ頃の登場なのかよくわかりませんが、もうMGC とは呼ばなくなったタイトーやAMI 製などがオークションで 散見されます。 このモデルは、アクションレバー下降防止の板バネ用のネジが見られますが、実際にセットされているのかどうかは 分かりません。

写真一番下は、ハートフォードの渾身のガスガンです。トグル機構を両サイドに備えた本格派です。 (ただ、壊れやすかったとも聞いたことがあります(私見)。)


ヘンリーライフル

写真15 この一連の流れで、バレルが樹脂製のヘンリーライフルも少数あったとも聞いたことがありますが、写真は見たことがありません。 ご存じの方がいらっしゃいましたら是非教えてください。
先日(2021年3月)オークションに出ていました。良い出来のようでした。かなりの額で終わりました、ザンネン私は届きませんでした。


イエローボーイ・メカ

写真11 基本的にM73 と何ら変わりませんが、サイドプレートがないのでちょっとだけ違っています。写真のイエローボーイは、 フレームが塗装されています。

写真12 写真13

MGC のM73 は、サイドプレートのレールにボルトが乗って動くのですが、プレートのないイエローボーイには、ボルトが落っこちないように 特殊なピンが打ち込まれています。また、右写真のようにダストカバーはM66 には、もともと存在しません(実銃にも)。

実銃の歴史

アメリカを代表する長物の名門銃器屋のウインチェスター社の成り立ちを書いてみました。 社名には意外な歴史があるんですね、驚きました。

年代 関係者氏名 カート 参考図、写真
1849 Walter Hunt ロケット式
安全ピンなんかも発明したハントさんが、レバーアクション風なライフルの特許を取っています。 パテント図を見るとチューブマガジン式のみ現代にも名残を感じられます。 かなり複雑そうな機構のようです。試作機のみで量産はされませんでした。
1849 Lewis Jennings ロケット式
ハントさんの特許を改良してジェニングスさんも特許を取りましたが、どちらの銃もいまいちでしたので、資金提供者(同一人物)は、特許を売りました。買った人は銃器最大手のロビンス&ローレンス社へ 改良を委託します。そこでホーレス・スミスさんが雇われベンジャミン・タイラー・ヘンリーさんと改良に取り組み、スミス−ジェニングス・ライフル として完成させます。1851年ころです。

また、このころペッパーボックス・ピストルの生産のために雇われていたダニエル・ウェッソンさんもオーナーがロビンス&ローレンス社へ特許を売った関係で同社へ来ていました。 ここに歴史的人物たちが出会うことになりました。そう、スミスさん、ウェッソンさん、ヘンリーさんです。


スミスさんとウェッソンさんは、お互いが抱えるプロジェクトの失敗について語り合ったそうです。そうして二人で新たな会社 S&W 社を作り、新型連発銃を販売します。

1854 Smith&Wesson ロケット式
ところが1855年、S&W 社の商売は、うまくいかず、いら立つ投資家のパルマーさんは、ボルカニック・リピーティング・アームズに会社を再編成します。 その際に新たに募った出資者の中に服屋で成功したウインチェスターさんがいました。
責任を取ったのかどうだか知りませんが、スミスさんは会社を辞め、ウエッソンさんも半年後に辞めます。 ヘンリーさんも元のローレンス社へ帰りました。

S&W 社の製品は、鉄フレームでしたが、のちのボルカニック社で作られた製品は真鍮のフレームになりました。

1856 Volcanic Repeating Arms Company ロケット式
1856年、投資家のパルマーさんは撤退し、ウインチェスターさんは大株主となり、会社を自分の活動拠点であるコネチカット州ニューヘイブンに移動します。 が、1857年会社は破産しウインチェスターさんは新たにニューヘイブン・アームズを起こします。
このさい、ウインチェスターさんはすべての負債を引き受ける代わりに特許権利もすべて手中にしました。
1860 Benjamin Tyler Henry 44ヘンリー、リムファイア
1858年、負債を背負ったウインチェスターさんは、何とかすべく一度はやめていった
ヘンリーさんを再雇用し製品を改善させます。 ヘンリーさんは、ボルカニックの泣き所=弱いカートリッジ を変更しスミスさんとウエッソンさんが22リムファイア・カートを作っていたことを 参考にし、44リムファイア・カートを作りだしました。世にいうヘンリーライフルの誕生です。

これは、大ヒットし、また1861年からの南北戦争とも重なってウインチェスターさんに恩恵をもたらしました。ヘンリーライフルは、かなり高価だったようですが南北戦争中に6,000 丁以上も売れたそうです。

1866 Oliver Winchester 44ヘンリー、リムファイア
1865年、ヨーロッパへ売り込みに出ていたウインチェスターさんに、思わぬ事態が起こります。 留守の間にヘンリーさんが収入に不満を抱き会社を乗っ取ろうとしていたのです。 すでにヘンリー・アームズに会社名が変更される手続きに入っていました。 急いで帰国したウインチェスターさんは、対抗処置で新会社ウインチェスター社を 設立しました。そこでヘンリーライフルを凌駕する新製品を売り出します。 ローディング・ゲートと前方ストックを備えたウインチェスター1866 の誕生です。

名門ウインチェスター社の第一歩となりました。

1873年、のちに西部を征した銃と呼ばれる名銃が誕生します。モデル1866 では真鍮だったフレームを強化するため鉄製にし、排莢口にダストカバーを設け砂・ゴミが入らないようにしました。 フレームの左右はサイドカバーを設け、製造の手間を楽にしました。

この銃の特徴は、なんといっても強力なウインチェスター・センターファイア 44-40 弾を使用できることです。44リムファイアーのヘンリー弾から卒業しました。 また、この弾はのちにコルトシングルアクションにも採用され、ライフルと拳銃が同じ弾を使えることで大いに使用されたようです。よって上記のように西部を征したと呼ばれました。


Smith & Wesson

言うまでもなく、ウインチェスターの歴史からは退場してしまいましたが、スミスさんとウエッソンさんは1857年にNo1 拳銃を発表し、 新たな歴史を歩み始めます。

上の米国オークションの写真のSW No.1 とNo.2 拳銃は、どちらも坂本龍馬が持っていたことが知られており、 我が国にも大変ゆかりがあります。



参 照

◎参考にしましたページ

http://firearmshistory.blogspot.com/

こちらはなかなかに面白いブログでした。実銃の歴史の部分は、ほとんどここのブログから引用しました。


MGC勢ぞろい

写真08 よく見るとフロントサイトが全部バレルバンドについていますね。これじゃぁ精度悪いでしょ・・と思ったら 実銃も初期の物はそうだったんですね。

フロントサイト

写真09 と、いうことで実銃の初期型の写真を載せておきます。トイガンの世界では、ダストカバーやリアサイトなどハートフォードがガスガンで再現していますね。

おまけ、組立解説

分解解説チラシPDF そのむかしMGC から発行されていましたメカニズム解説のチラシです。PDF ファイルへのリンクになっています。 ダウンロードして印刷してご覧ください。ブラウザにプラグインが入っていればそのままクリックで見られます。

MGC M73 は、すこし分解組立がむつかしいのでこれを上げてみました。


分解図

分解図01 分解図02

MGC 最後の長物製品

写真17
ごんすけ さんより珍しい写真をいただきました。

MGC 新日本模型の最後の長物製品、M73 エングレーブです。 正式名称は、「M1873Classics Engraving Silver custom」だそうです。 きれいな写真をたくさんいただきましたので、 こちら のページに別途記載しています。 どうぞご覧ください。


ごんすけさんの、youtube チャンネルはこちら

https://www.youtube.com/user/nono1911gonsuke
珍しいモデルガンがいっぱいです。

写真ありがとうございました。