ボーチャード・ピストル

名 称Borchardt 1893
所 属ドイツ
口 径7.65mm ボーチャード
記 事 ドイツ人、ヒューゴ・ボーチャード作だがアメリカにも住んでいたので本によってはアメリカ人と、ある。 1893年特許。のちのLuger ピストルの原型。
ライフルに使われていたトグルアクションを拳銃に応用した。ショートリコイル。
銃身長7 1/4 、全長14インチ というから、かなりの大きさだった。 アメリカでは、木箱にホルスター付きのストック、予備弾装などが入ったセットで発売された。

ドイツ人のボーチャードは16歳のときにアメリカに移住した。その後、ウインチェスター社で働きながら 独立の機会をうかがっていたのかも知れない。
1882年ハンガリー・アームズに入社。そこで1888年、マキシム機関銃のデモンストレーションに遭遇する。 マキシムのトグルアクションは、彼に大きなきっかけを与えたと思われる。

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この銃の弾薬は7.65 ボーチャードで、サイズは.30モーゼルと同じである。
というより、モーゼルがパクったのである。しかし火薬量が違うのでボーチャードに.30モーゼルを 使うのは壊れるからやめろと言われていたようだ。
生まれては消えていった多くの弾薬の中で この弾は現在でも生き残っている。当初の設計が優れていたのであろう。また、この弾からは30ルガー弾、9mmルガー弾へと 進化している。ちなみにボーチャード弾薬設計者は、のちにルガー拳銃生みの親となるGeorge Luger 氏といわれている。

ボーチャード弾、30モーゼル、および.30モーゼルをパクった7.62トカレフの諸元を下記に示す(ケースサイズは皆同じ)。

名 称弾頭
(グレイン)
パウダー
(グレイン)
MVME
7.65ボーチャード85 1280312
.30モーゼル
(7.63mm)
865.21410375
7.62 トカレフ865.01390365


構造はトリガーメカニズム、トグルジョイントなどLuger ピストル同様である。

銃がかなりでかいうえに後ろが重いので、銃口のはねあがりが大きかったであろう。 もっぱらストック仕様で撃ったのではないだろうか? ストックの裏側はホルスターになっている。

カッターウェイを描いてみた。↓

cut

銃の後方にどでかい板ばねが格納されている。図では赤の「の」の字の逆な格好が板ばね。
緑のブリーチの中に撃針が入っている。Luger と同じくストライカー式。シアーなどの動作も同じ。

グリップにマガジンを入れて空間を有効に利用したことで自動拳銃の基本モデルを形作った。

世界初の実用化された自動拳銃として有名。


分解図

ルガーよりトグルがひとつ多い様に見えるが最後のトグルが一体物かは良く判らなかった。
マガジンキャッチあたりのフレームのカットは、とびら絵よりこの形の方が古いと思われる。 (特許図に出てくるのは、このフレーム)
左下の木製マガジンみたいなのには、クリーニングキットが入っている。

正面図

前から見るとトリガーは左に寄っている。これは直接トリガーがシアーを押さえるため。 のちにルガーは、二つの部品にする事で解決している。


正面図

このようなセットで販売されていたようだ。 真ん中にあるガラスのビンは、何に使ったのであろう?その下はドライバーのようである。


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