ブローニングM1900

名 称Browning Model 1900
所 属ベルギー
口 径.32ACP
記 事 アメリカの天才技師ジョン・モーゼス・ブローニング設計による ベルギーのファブリック・ナショナル社の製品。1899年より製造。
ブローニングの市販拳銃第1号となり、商業的にも成功した。 その後M1903、M1910などへ続くフレーム後端デザインが見て取れる。

第1次大戦の引き金となった暗殺に使われたと書物にあるが、床井氏によればM1910 であったとの事。

世界初の携行できる中型護身用自動拳銃として大ヒットし、M1910 に変わるまで50万丁製造された。 民間、警察、一部軍用にも使用された。32ACP はこの銃用にブローニングによって設計され 、のちに.380ACP へと進化する。


構造的にはストレートブローバックであるが当時のヨーロッパ勢が銃身むき出しのデザインに対し スライドが銃身を覆うデザインである。 また、その後の製品と逆でフレームがスライド(ブロック)を挟み込んでいる。

我々はスライド上部に銃身が入っているように見てしまうが 実は下の段。上はリコイルスプリングが入っている。発火方式はストライカー式でリコイルスプリングの力で 撃針にテンションがかかっている。スライドとブリーチブロックは別部品で2本のネジで連結されている。

概念図を描いてみたので下記に掲載。あくまで概念・・実物形状とは違います。 ( 生まれて初めて アドビ・イラストレータを使った。)

実物はこちら http://world.guns.ru/handguns/hg117-e.htm でどうぞ

2005年5月 あらたに断面図を描いてみた。↓

WEB 上で見つかる物はあまり良い物がないので ほとんど自分で描いた。けっこう良い線いっていると思う。 撃針が起きていない時は、リアサイトがレバーで見えなくなっている。 インジケータの役目もしている。 加工のしやすさからか、スライドとブリーチブロックは別部品。図では黄色で描いた。
スライドにはフレームと噛み合うミゾは無い。ブリーチブロックにある。
この銃は、ブローニングの市販自動拳銃第一号として興味深い物が有る。↓に考察

続いて行った技術

  • 銃身をスライドで包むスタイル → ほとんどの自動拳銃のモデルとなった
  • リコイルスプリングを銃身と平行に配列 → 銃が薄くなる。同上
  • トリガー&シアー → コルトポケット、FN 1910
  • シアスプリングなど3枚のバネ → 一枚プレス品へと進化

その後使われなかった技術

  • 銃身を下の段に配置 → 上にする事で装弾数が一発稼げる
  • リコイルスプリングが撃針バネ兼用 → その後、銃身を上の段に持ってきたため使えない
  • フレームにスライドが入るふくらみがある → フレームを膨らませるのではなく スライド前面下部を削るタイプになった
  • マガジンキャッチ → 引っかかりやすいのか、このタイプは流行らなかった。
  • フレームがスライドを挟み込む → その後のブローニングの作品ではハイパワーのプロトタイプにしか見られない。フレーム加工の簡略化か?
  • グリップ・プレート止め → トカレフのような裏からプレートで止まっているが、のちの作品は フレームにネジを切って止める方式になった。

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現北朝鮮総書記の金 正日 氏の父である金 日成 氏が日本軍との戦いを決意した時に 父親からFN 1900 を与えられたというのは、北朝鮮では伝説となっているようで 北朝鮮の国産拳銃第一号もこの銃であった。「国際出版Gun 99年11月号 床井氏記事」

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銃身むき出しタイプの自動拳銃ばかりの時代にスライドで銃身を包み込み、そこにリコイルスプリングを 配置し、銃の幅を薄くしたこのFN 1900 は、その後現代まで続く自動拳銃のデザインを決定付けた。

40台半ばのブローニングは、このあと10年ほどのあいだに次々とヒット拳銃を生み出していく。


兄弟並べてみました。FN 1900は2種類の寸法があってどちらが本当かわかりません。 2種類あったのかもしれません。


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