ステアー1907

名 称

Roth Steyr 1907

所 属オーストリア
口 径8mm 10連発
記 事 1907年にオーストリア軍制式採用。
設計者の名をとってロート・ステアーとも呼ばれる
(ステアーは製造会社名)。
独自の8mm弾を使用する。外部マガジンは無く本体に内蔵されたマガジンにクリップで給弾する。

動作は銃身回転式ショートリコイル。
8mm弾の威力が小さかったためか4年ほどで改良型の9mmステアー・ハーン(M1912) に制式の座をゆずる。

撃針はストライカー式であるがフルコックされていなくて、トリガーを引くことにより 最後端に下げられ激発する。現在のグロックのアイディアの原点とも言われるが 本当かどうだか知らない。

断面図

コッキングピースを引いて第一弾を薬室に入れた状態。
この段階では撃針は最後端まで下がってはいない。
トリガーを引くことにより撃針は後退させられ、最後端より激発に向かう。
トリガー機構は右の膨らんだフレーム内にある。この上に内臓マガジンが、かぶさる。

トリガー機構は、リボルバーのダブルアクションのようだ。Gun 誌 2001年7月号の記事にあるが トリガーが重くて集弾性能が悪いと書いてある。

どうしてこのような設計をした物か不思議だ。安全を考慮しての事か?


分解図

機械加工の最高の技術が無ければこの銃は完成しない。
凝りに凝った作り、製造コスト高そうだ。よくこれで軍用として採用されたものだ。 ルガーや南部式拳銃などの時代であり、まさに鉄製の芸術品とも言えるのではないだろうか。
銃身には二つのラグがあり、それぞれブッシングとボルトのミゾに噛み合っていて バレルを回転させる。
ボルトとのみ噛み合っていてもよさそうだが、バレルブッシングにも溝があるので ブッシングの加工は大変だ。フレーム、ボルト、銃身、全てとのクリアランスが 正確に要求される。

内臓マガジンも凝っている。 内臓マガジンのフォロアーに押し上げられて作動するスライドストップがサイドプレートに開いた穴から 外に出る。 また、左のプレートには、ローディング用のスライドキャッチが別に内蔵されている。四角いボタンがそれである。


試作銃

こちらは1896年にジョン・ブローニングが作った38口径の試作銃である。市販化は、されなかった。
銃身回転式ショートリコイル、グリップセフティ付。ストライカー式か?
Roth 氏は、これを参考にしたのか良く判らないが、作動方式と外観がステアー1907 によく似ている。 なお、この絵は書籍 Les Pistolets Colt のイラストからパクっているが、グリップセフティは本当は 下まで伸びていたかもしれない。よくありがちで、光っていると見逃して絵を描いてしまうから。

挿し絵

ホルスターにはクリップ入れか、マガジン入れが付いていた。


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