ワルサーP38

名 称WALTHER P38
所 属ドイツ
口 径9mmパラベラム
記 事 1938年完成したワルサー社のHP ピストルの軍用正式名がP38。 Luger P-08 の製造コスト削減をめざしたドイツ軍に1939年正式採用された。

ワルサー社によるPP を大口径9mm Luger に対応させた製品。 撃発機構は、ほぼPP のまま。当初はハンマー内臓型で試作された。
リコイルスプリングは銃身にかぶせる1本タイプからスライド内に2本格納されるタイプとなり 径も小さくなった。 大口径のためショートリコイルを採用。ロッキングブロックはボタンによる下降式で スライドと銃身の連結を解除する。
ブローニングタイプの銃身下降式でなくモーゼルミリタリーのように銃身が動く事はない形式。
2次大戦時、ワルサー社だけでなくモーゼル社でも多くのP−38が生産され、それぞれ刻印が違う。


日本では小説や漫画「ルパン3世」に登場したので超有名である。 P-08よりもコスト下げた製品らしいが、かなりの加工を要したと思われる。 スライドとの結合部分も芸術的な曲線で構成されている。現代では考えられない。 戦時下の粗悪品ではスライド上部のインジケーターカバーが発射の際吹っ飛ぶのはよく言われる話。

戦後も西ドイツ軍により基本設計はそのままP1、P4として採用された。

p38図 大戦時ゲシュタポ用に少数作られたらしい短銃身モデル。
現実には存在しなかったようです。
p38図 ワルサーAP(アーミーピストル)。
PP からの試作時の製品で量産はしていない。ハンマー内蔵型。
エキストラクタも内蔵型だった。
p38図 197x年P-38 の現代版と言えるP-5。 基本構造はほとんど踏襲されている=製造コスト高い?

カット図を描いた↓

cut図

だいだい色のシアーバーは本当は反対側にあるが、解説の都合上見せている。
赤色のロッキングブロックはボタンに押され落ち込むようになっている。

AP 図

↑試作段階のハンマー内蔵型AP (アーミーピストル)。
ロッキングするところのスライドが厚くなっている。
エキストラクターはP-38と同じ位置だが内蔵されている。装填インジケータも 付いている。

APモデルは、このようなストック付や長銃身、短銃身モデルなどさまざまに試作された。


MP 図

↑ こちらは、最初に9mmルガー弾を撃てる銃として1930年頃試作されたという MP−PP。 PPの「そのまま」大型版。ストレート・ブローバックなので強烈なリコイルスプリングが入っている。

MPには、このようなモデルもあったみたいだ。ファーストモデル・MPと呼ばれ1932年〜34年に かけて試作された。スライド先端にブリッジが無いのでブリッジレスMPと言われている。 トリガーガードがやたらと大きい。トリガー上方のレバーはスライドストップと バレル分解用ラッチを兼ねている。
リコイルスプリングは2本あり、装填インジケータもありP−38の原型といえる。
KENさんに教えてもらったページ↓(ドイツ語)

http://rk-westhausen.regioforum.de/info/bw-waffen/p38.html


P−38のトリガーガード上部のカットは、当初の製品は全てストレートカットであったが フレームにクラックが入ることがあり、ひょうたん型のカットに変わった。 1943年の第2シリーズから変更が加えられたようで、ワルサー社、モーゼル社、ともに行われた。
 
参考 (AC43、byf43 を参照) → http://www.p38guns.com/
 

P-38 分類表

会社刻印生産数
ワルサー社ゼロ付シリアル13,000
480コード7,200
ac コード573,900
小 計594,100
モーゼル社byf331,000
svw15,000
小 計346,000
SPREEWERKE 社cyq 及び cvq284,500
P-38 総 計 1,224,600


[ひとつ戻る]