ワルサーPP

1929年登場、ストレートブローバック、完成されたダブルアクションは現在の拳銃にも 大きな影響を及ぼしている。名銃である。のちのP-38 はトリガーメカニズムをそのまま受け継いでいる。

代々銃器関係の家柄のカール・ワルサーは1886年、ワルサー社を起こし長男フリッツ・ワルサーとともに 銃器の製造に乗り出した。時はボーチャード拳銃がまもなく登場、数年後にルガー拳銃、ブローニング拳銃の 登場でオートマチックブームがヨーロッパに始まろうとしていた。
1903年FN社のブローニング・ポケットが発売され爆発的に売れるのを見て、ワルサー社からも対抗馬 として同口径の25ACP 、モデル1が、1908年に登場した。 フリッツ氏がおもに設計したようで、モデル1 を皮切りに次々と新モデルを開発してゆく。

フリッツ氏は銃器屋の長男という事でアメリカのブローニング氏と境遇が似ている。 1915年に55歳でカール・ワルサー氏は世を去る。
フリッツ氏は、モデル9 のあと1929年に警察用として PP を世に送り出す。モデル8(右図)に外観が似ているが、オートマチック拳銃として 世界初の完成されたダブルアクションを備えワルサーの名を歴史に刻みこんだ。 PP 、PPK は 2005年現在でもそのままの形で製造・販売されている。
ワルサー社→ http://www.carl-walther.de/deutsch/index.html

名称Walther PP
所属ドイツ
口径.32ACP   8 rounds
(7.65 X17mm)

他に.380ACP、.25ACP、.22LR

記 事 以下の説明文はKOU2 さんのWebページ 「WILDERNESS」より許可を得て丸写ししています。 転載させていただき有難うございます。
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1920年代に、当時新鋭企業だったワルサー社が様々な研究の末に警察用拳銃として開発した物がワルサーPP(Polizei Pistole)である。
これが警察以外にも銃不足にあえぐ欧州各国の軍が注目し、士官用の携帯用拳銃として人気が出たため、 さらに携帯に向く様に小型化をはかった物がワルサーPPK(Polizei Pistole Kurzschlus)である。

 携帯性と性能に優れたPPとPPKは多数生産され欧州各国の軍/警察で使用されたが、第2次大戦中の戦時急造で粗悪品が大量に出回った事と、 ドイツのゲシュタポが好んで使用したため評判が芳しくなかった。
  そのイメージを一新させたのが映画『007』シリーズであり、第2作目より主人公ジェームズ・ボンドが ベレッタM1919からこのワルサーPPKに持ち替えたところ、それがスパイのスタイルに合致し後にPPKはジェームズ・ボンドの代名詞と云われる程有名になった (ただし最近はPPKからP99に乗り換えたようである)。

 またPPKをアメリカに輸出する際、アメリカでは小型すぎる拳銃だと法律に触れてしまうため、 あえて大型のPPフレームにPPKの銃身、スライドを組み込んでPPK/Sの名前で販売した。
  これがかえってアメリカ人の手のサイズに合い、映画との相乗効果も相まって非常にヒットした。


完成されたダブルアクション機構。のちP-38 やベレッタ92など多くが同様のシステムを採用する。 装填インジケータは、22口径版には付いていない。リムファイアーだから。また、22口径版は スライドを削って厚みを薄くしてある。

PPK 戦後版。↑

ワルサー社のトリガーガードは全て曲線で構成されている。
ブローニングは直線と円の組み合わせだ。

これは1931年デビュー当時のPPK スライド。銃身長を短くし、フレームを削ってPP の小型版として登場。
先端の切削加工カーブが戦後型に比べ急角度だ。

pp分解図

戦前版のフレームは、PP,PPK ともこのように大胆なカットが施されている。 戦後版は、シア周りのカット方法が変わった。PPK で描いたものを下に示す。

pp分解図

戦前にはじめてPPK が登場した時にはワンピースグリップであったが すぐにツーピースに変わったようだ。
戦後版では、シアの形状も若干変わっている。PPK はPP よりも7mmほど背が低い。 装弾数も1発少ない。



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